ボトル入り飲料水に微細なプラスチックが数十万個も含まれていることが判明、水の浄化フィルターに由来するものも

ボトル入り飲料水に微細なプラスチックが数十万個も含まれていることが判明、水の浄化フィルターに由来するものも - 画像


プラスチックの細かい粒子であるマイクロプラスチックやナノプラスチックは空気中や飲料水などあらゆる場所に存在しており、人体に悪影響を与えることも確認されています。新たに、ボトル入り飲料水の中に微細なプラスチックが数十万個も含まれていることがコロンビア大学の研究チームによって確かめられました。
Rapid single-particle chemical imaging of nanoplastics by SRS microscopy | PNAS
https://www.pnas.org/doi/10.1073/pnas.2300582121

ボトル入り飲料水に微細なプラスチックが数十万個も含まれていることが判明、水の浄化フィルターに由来するものも - 画像


Bottled Water Can Contain Hundreds of Thousands of Previously Uncounted Tiny Plastic Bits, Study Finds
https://news.climate.columbia.edu/2024/01/08/bottled-water-can-contain-hundreds-of-thousands-of-previously-uncounted-tiny-plastic-bits-study-finds/

ボトル入り飲料水に微細なプラスチックが数十万個も含まれていることが判明、水の浄化フィルターに由来するものも - 画像


枯れ木や生き物の死骸などの有機物は微生物などの働きによって異なる物質へと分解されますが、ほとんどのプラスチックは微生物によって分解されず、非常に細かい粒子となって残存します。直径5ミリメートル~1マイクロメートルのプラスチック微粒子はマイクロプラスチック、1マイクロメートル未満の微粒子はナノプラスチックと呼ばれており、それらの微細なプラスチック粒子は海中や空気中のほか、飲料や人間の血液中など、ありとあらゆる場所に存在しています。
2023年の研究ではマイクロプラスチックが人間の腸を傷付けることが確かめられるなど、微細なプラスチックが人類に及ばす悪影響が次第に明らかとなっており、身の回りに存在する微細なプラスチックの量や種類の詳細な分析が求められています。しかし、研究チームによると、既存の研究ではナノレベルの粒子の数や種類を把握できていなかったとのこと。研究チームは特定の分子を選択的に観察できる「誘導ラマン散乱(SRS)顕微法」を用いることで、ボトル入り飲料水に含まれる100ナノメートルまでの微細なプラスチックの種類や数を分析しました。
研究チームはアメリカで販売されている3種類のボトル入り飲料水に、「66ナイロン(PA)」「ポリプロピレン(PP)」「ポリエチレン(PE)」「ポリメチルメタアクリレート(PMMA)」「ポリ塩化ビニル」「ポリスチレン(PS)」「ポリエチレンテレフタレート(PET)」という7種のプラスチックがどれだけ含まれているのかを計測しました。その結果、飲料水1リットル当たり11万~37万個のプラスチックが含まれていることが判明。そのうち約90%はナノプラスチックで、約10%はマイクロプラスチックでした。
分析された3種の飲料水にどの種類のプラスチックが含まれていたのかを示したグラフが以下。上段の円グラフは各種プラスチックの数の割合を示し、下段の円グラフは体積の割合を示しています。図を見ると、PETやPAの割合が大きいことが分かります。研究チームは、「PETはボトルの材料として使われており、輸送中や保管中にボトルから粒子が剥がれて水中に混ざり込む」「PAは水の浄化に使われているプラスチックフィルターに由来している」と考察しています。

ボトル入り飲料水に微細なプラスチックが数十万個も含まれていることが判明、水の浄化フィルターに由来するものも - 画像


研究チームは今後、水道水や洗濯排水に含まれる微細なプラスチックについても分析を進める予定です。

ジャンルで探す