映画やテレビ番組の海賊版へのアクセスは2023年で1410億件超、日本は改善傾向

映画やテレビ番組の海賊版へのアクセスは2023年で1410億件超、日本は改善傾向 - 画像


著作権侵害に関する追跡調査を行うMUSOがコンサルティング会社と共同で発表した調査で、2023年の海賊版サイトへのアクセス数が1410億件超だったことが示されました。MUSOが公開した詳細なレポートでは世界中でどの国では海賊版サイトの侵害が多いか、また近年のアクセス数がどう変化しているかなどが示されています。
Unlicensed Audience Data: A Multi-Billion Dollar Opportunity for the Entertainment Industry
https://www.muso.com/magazine/kearney-report-blog

映画やテレビ番組の海賊版へのアクセスは2023年で1410億件超、日本は改善傾向 - 画像


Video Piracy Visits Rose to 141 Billion in 2023, Report Shows * TorrentFreak
https://torrentfreak.com/video-piracy-visits-rose-to-141-billion-in-2023-report-shows-240109/

映画やテレビ番組の海賊版へのアクセスは2023年で1410億件超、日本は改善傾向 - 画像


'Canada is a Video Piracy Hotspot While Brazil Sees Piracy in Decline' * TorrentFreak
https://torrentfreak.com/canada-is-a-video-piracy-hotspot-while-brazil-shows-positive-signs-240121/
著作権侵害を追跡するMUSOとコンサルティング会社のKearneyが2023年1月に発表した「ビデオコンテンツの著作権侵害 データと分析の力を利用して数十億ドルの機会を獲得する」というレポートによると、2023年の海賊版映像のアクセス数は前年比で約10%増の1410億件以上でした。レポートでは、海賊版の音楽やソフトウェアに関するアクセスは含まれておらず、映画やテレビなど映像コンテンツのみをカウントしています。

映画やテレビ番組の海賊版へのアクセスは2023年で1410億件超、日本は改善傾向 - 画像


レポートによると、映像コンテンツの中でも映画とテレビ番組で65%を占めており、25%がアニメ、約9%がスポーツ中継、残りがその他の生中継を含むコンテンツです。どの種類のコンテンツが人気であるかは地域によってある程度の開きがあり、例えばアジアではスポーツ中継が5.3%程度なのに対し、アメリカでは11.3%ほどと高くなっています。レポートによると、「これは合法的なコンテンツにアクセスするのがどれほど簡単か、あるいは価格が手ごろかどうかに左右される」と考えられるそうです。
また、最初のレポートから1週間ほど後に、「国民1人あたりの海賊版サイトへのアクセス数」および「その割合が2018年から2023年にかけてどのように変化したか」に基づいて、各国の海賊版アクセス数をランク付けするグラフを含む完全版のレポートが公開されました。
以下がそのグラフで、グラフの横軸が国民1人あたりの海賊版サイトへのアクセス数、縦軸が2018年から2023年の海賊版アクセス数の変化量です。レポートでは縦軸と横軸それぞれの範囲に応じて、調査に含まれた各国を「国民1人あたりの海賊版サイトアクセス数は低いが、増加している(左上)」「国民1人あたりの海賊版サイトアクセス数が高く、増加傾向にある(右上)」「海賊版サイトアクセス数は低く、かつ減少傾向である(左下)」「国民1人あたりの海賊版サイト訪問者数は高いが、改善傾向にある(右下)」の4カテゴリに分類しました。

映画やテレビ番組の海賊版へのアクセスは2023年で1410億件超、日本は改善傾向 - 画像


グラフによると、海賊版サイトへの訪問者数が多く、かつ近年でその割合が大きく増加している「ホットスポット」と呼ばれる国として、カナダやスウェーデン、香港、カタールが注目されています。また、シンガポールは海賊版サイトへの訪問者数はかなり多いですが、増加率はあまり高くないことがわかります。近年の増加率がかなり高くなっているのがインドで、人口が多いことに加えてインターネット普及率が近年急速に高まっていることが影響しており、「海賊版の成長市場」と見られています。
反面、左下に位置する日本やブラジルでは、国民1人あたりの海賊版サイトアクセス数がかなり低く、同時に近年で減少傾向にあると示されました。著作権侵害に関するニュースを配信するTorrentFreakによると、日本や南米では海賊行為の取り締まりが広範かつ頻繁に実施されており、この取り組みの結果が表れていると考えられるとのこと。
MUSOは最新のレポートをふまえて、「著作権侵害は継続的な課題である一方で、コンテンツの価値を最大化するために、現在は海賊版にアクセスしている消費者の行動を商業化することで、エンターテインメント企業にとっては真のチャンスが存在します。コンテンツ著作権侵害の背後には潜在的な価値があり、この価値を解き放つための新しいアプローチと考え方の準備ができているメディアやエンターテインメント企業にとっては、大幅な収益の増加が見込まれます」と語っています。

ジャンルで探す