フィニッシュする前に歩き出す!? 「左足下がりで歩き打ち」ができると平坦地のショットも良くなるってなぜ?

多くのツアープロのコーチとして活躍している石井忍氏が“ここはスゴイ”と思った選手やプレーを独自の視点で分析します。今回注目したのは、国内男子ツアー最終戦「ゴルフ日本シリーズJTカップ」で優勝したショーン・ノリスです。

国内メジャー3冠のショーン・ノリス

 11月28日からの4日間、東京よみうりカントークラブで国内男子ツアー最終戦「ゴルフ日本シリーズJTカップ」が行われました。

 今シーズンは賞金王争いが最終戦までもつれ、平田憲聖選手、金谷拓実選手、今平周吾選手、岩田寛選手、木下稜介選手、石川遼選手の6人が賞金王の可能性を残して決戦の地に乗り込みました。

 結果は、大会前までランク2位だった金谷拓実選手が通算9アンダーの単独3位フィニッシュ。ランク1位で今大会を迎えた平田憲聖選手を逆転して初の賞金王に輝きました。

左重心でスイングするため、左足下がりではそのまま歩き出すショーン・ノリス 写真:JGTOimages

左重心でスイングするため、左足下がりではそのまま歩き出すショーン・ノリス 写真:JGTOimages

 賞金王レースは混戦でしたが、優勝争いは1打差2位から最終日をスタートした南アフリカ出身のS・ノリス選手が通算12アンダーで今季初勝利。最終ホールをダブルボギーとしたものの、2位に2打差をつけて逆転で勝利を挙げました。

 ノリス選手は2018年に「日本ゴルフツアー選手権」、21年に「日本オープンゴルフ選手権」を制しており、今回の優勝で通算7勝、国内メジャー3冠を達成したことになります。

 さて、そんなノリス選手には18年の「日本ゴルフツアー選手権」優勝時から今も変わらずに続けている興味深い動きがあるんです。

 それは、左足下がりから打つ時にフォローを出しながら歩き始めることです。今大会の左下がりからのセカンドショットでも、フィニッシュを取る前に右足を前に出し、グリーン方向にスタスタと歩いていました。

「なんてせっかちなゴルファーなんだろう」と思うかもしれませんが、これにはちゃんと理由があるんです。

 フェードヒッターであるノリス選手は、軸を右に傾けずに左重心、左軸をキープしてスイングする傾向があります。左足下がりのライからもこのイメージで振っているため、右足が自然に前に出ているというわけです。

あおり打ちの傾向がある人にも効果的

 左足下がりが苦手な人は、ノリス選手の「歩きフィニッシュ」を参考にしてみてください。ダフリやトップが出ず、スムーズに振り抜けるようになるはずです。

 また、ダウンスイングで軸が右に傾いたり、右肩が下がるなど、あおり打ちの傾向がある人にもこのスイングは効果的。球がペラっとめくれる人や右プッシュとダックフックがどちらも出てしまう人も試してみるといいでしょう。

 ただし、元々カット軌道でスライスが出ている人は要注意。アウトサイドイン軌道がさらに強くなり、スライスが止まらなくなる可能性があるので真似しないようにしてくださいね。

ショーン・ノリス(Shaun Norris)

1982年生まれ、南アフリカ出身。2016年の日亜共同主管「レオパレス21ミャンマーオープン」優勝を機に日本ツアーに本格参戦。17年の「日本ゴルフツアー選手権」を制し、18年、19年は賞金ランキング2位と活躍。21年は「日本オープン」を含む2勝を挙げ、22年は母国開催の欧州ツアーで初勝利。母国のサンシャインツアーでは3勝を挙げて賞金王に輝いた。24年は「ゴルフ日本シリーズJTカップ」を制して国内ツアー通算7勝目を挙げた。JOYXゴルフ倶楽部所属。

【解説】石井 忍(いしい・しのぶ)

1974年生まれ、千葉県出身。日本大学ゴルフ部を経て1998年プロ転向。その後、コーチとして手腕を発揮し、多くの男女ツアープロを指導。「エースゴルフクラブ」を主宰し、アマチュアにもレッスンを行う。

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