ゴルフ場における「あおり運転」!? 昔は前組を脅かすような「故意の打ち込み」が頻繁にあったってホント?

前の組にボールが届いてしまうことを「打ち込み」といいますが、中には意図的に行っている人もいるそうなのです。果たして本当なのでしょうか。

昔は悪意のあるケースもあった

 前の組との間隔が十分取れていないせいで、打ったボールが前の組まで届いてしまうことを「打ち込み」と呼びます。万が一体にボールが当たった場合には骨折や失明などの大ケガ、最悪の場合では死亡事故に繋がる危険性もあります。

かつてはワザと打ち込む「不届きゴルファー」がいたらしい!? 画像:PIXTA

かつてはワザと打ち込む「不届きゴルファー」がいたらしい!? 画像:PIXTA

 一般的に、打ち込みはプレーヤーの不注意による過失で引き起こされるケースが多いと思われがちです。しかし、中には意図的に打ち込もうとする人がいるそうなのですが、果たして本当なのでしょうか。ゴルフ場の経営コンサルティングを行う飯島敏郎氏(株式会社TPC代表取締役社長)は以下のように話します。

「故意に打ち込みをする最大の理由は、前の組のプレーが遅すぎると解釈して『早く前に進めよ!』とまくし立て、自分たちのプレーを無理やりにでもスムーズに進めたいからです」

「ボールを人に当てようとして打っているつもりではありませんが、ボールがすぐ近くに落ちることで驚かせると共に、『急がなきゃ』と思わせようとする心理でやっていることが多いです」

「かつては、そのようなマナーを全くわきまえていない不届きゴルファーは多くいたとされていますが、最近ではほとんど見かけなくなってきました。余程のことがなければ、遭遇する確率は低いと考えていいでしょう」

「しかし、運が悪ければ意図的な打ち込みの被害にあう可能性もあります。直接『打ち込まないでください』と声をかけると、相手の神経を逆撫でしてしまうかもしれません。カートナビからキャディーマスター室に連絡を入れれば、コースマーシャルが駆けつけて注意をしたり、予約の表から誰なのか特定し、代わりに対応してくれると思います」

 故意に打ち込みをする人は、基本的にはそのゴルフ場のメンバーであったり、スキルに自信を持っている上級者が、ある意味「マウントを取ろう」として前の組を脅かすためにやっているとされます。

 過去には暴力団をはじめとした反社会的勢力の人間だったという事例もわずかながら存在し、意図的な打ち込みが減った一因にはチェックイン時の「反社ではない旨を証明するサイン」が普及したこともあるといわれているそうです。

故意ではないケースも注意が必要

 一方で、プレーヤーのミスに起因する「意図的でない」打ち込みは今でも多く、不幸にも打球事故に発展してしまうケースもあります。具体的にどのような状況になると打ち込みが起きやすくなるのでしょうか。飯島氏は以下のように話します。

「ドッグレッグになっていたり途中に木が立っていたりする『ブラインドホール』では、先がどうなっているかが非常に分かりづらいです。カートナビなどで前の組が近くにいないことをしっかり把握していないと、打ち込みになってしまう可能性が高くなります」

「ほかにも、自分のショットの飛距離を少なく見積もっていたにもかかわらず『追い風に乗った』『珍しく芯を食った』などの原因で予想外のナイスショットが生まれ、前の組の近くまで届いてしまったといったケースも考えられるでしょう」

「万が一打ち込みをしてしまった場合は、グリーンやティーイングエリアの近くならカート同士が接近することもあるので、そのタイミングで話しかけにいって『先ほどは申し訳ありませんでした』と帽子を取って謝罪するのが一番だと思います」

「また、ラウンド中に話しかけられるチャンスがなかった場合はハーフターン中やラウンド終了後にクラブハウスで会う機会があるはずなので、そこでお詫びの気持ちを伝えられるといいでしょう」

 今では、故意による打ち込みはほとんど見かけないようですが、打ち込んだところで根本的なスロープレーの解消にはなりません。また、過失だったとしても周りの人に危険を与える行為には変わりはないので、全てのゴルファーが徹底した安全意識を持つことが求められます。

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