社会人理事が学生に「横領だ!」と公衆の面前で罵る異常… レジェンドOBもあきれる“大人の出しゃばり”体制【関東学生ゴルフ連盟に激震・下】
松山英樹をはじめとして数々の有名プロゴルファーが輩出した関東学生ゴルフ連盟。本来は学生が運営する学生のための団体ですが、実は実権を握っているのは社会人。現在、恣意的な運営による問題点が表面化し、“大人のもめごと”で学生が苦しむ現状になっているというのです。JGAはもちろんスポーツ庁も問題視し、この異常事態の収拾に乗り出しました。
明文化されていない決まりを押し付ける恣意的運営
関東学生ゴルフ連盟(以下、関東学連)が抱える問題点について〈上〉でお伝えしました。実はそれに追い打ちをかける事件が10月27日に発生しています。重大局面を迎えたこの問題をリアルタイムでリポートします。
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北口博会長代行が取材拒否を貫いているため、加盟校の学生や監督たちが抱えている5つの疑問を10月28日の13時半過ぎにメールしましたが、1週間以上が経過した11月5日17時の時点で返信は届いていません。
実は質問を送付する前日の27日、東京・飯田橋で関東学連の主将主務会議が行われた後の監督らとの話し合いの場で“事件”が起きました。現執行部の門馬光直常務理事が、会議に出席していた学生のAさんに対して「あれは横領だからな」と発言。そこに居合わせた監督が止めに入る事態に発展したというのです。“横領”とは穏やかではありません。公衆の面前でこんなことを言われたら、本人の信用は失墜します。いったい何をもって横領と指摘されているのかをAさんに尋ねてみると、こんな答えが返ってきました。
【事実関係】
1)2024年4月某日にAさんとほか2名がブロックリーグ戦の試合当日の運営スケジュールやヤーデージを決めるためのコース交渉をするため、Bカントリークラブを訪問。本当はAさんと別の大学の学生が行く予定であったが都合が合わなくなったため、チームメイト2人に同行してもらった。
2)フォアキャディーの有無やバンカーの砂の量、防球ネットの排除など実際にコースに出てみないと分からない部分があったため、午前中は3人で実際にラウンドして午後からコースと大会開催のための交渉を行った。
3)交渉が終わって帰る際にフロントでプレー代の精算の要求をされたため、リーグ戦の請求書とまとめて学連に請求してほしいと言って帰宅した。
4)後日、Aさんともう1名の交通費や手土産代を学連事務局に請求し、請求額を各々の口座に振り込んでもらったが、Bカントリークラブから請求書が来た際に、Aさんたちの請求のプレー代と食事代が社会人理事から不正だと指摘を受け全額返金した。
この件に関し、Aさんは学生委員に依頼して前述の社会人理事に対して請求が不正である理由を尋ねてもらいましたが、社会人理事からの回答は以下のようなものでした。
【社会人理事からの回答】
1)運営委員でない人がコース交渉に行った。
2)交渉した人(チームメイトの一人)がその試合に出た。
3)本来2人で行くコース交渉を3人で行った。
4)コース交渉の時のラウンドはゴルフ場の御好意でやらせてもらっているもの。2カ月前ではコースの状態も試合の時とはかけ離れているため、学連のお金でプレーさせる理由にはならない。
【Aさんの反論】
一つ目の「運営委員でない人がコース交渉に行った」ということですが、学連の規約には運営委員の明確な記載がありません。形だけのライングループがあるだけです。試合の運営をする人はほとんどが大学から始めた初心者のため、初心者に試合のコース交渉をやらせるよりは、ジュニアから試合に出ている2人を交渉に連れていった方がより良い交渉になると思ったため連れていきました。実際にバンカーの砂の量やラウンド後の軽食の有無など自分では思いつかなかったことを指摘してくれました。
2つ目の「交渉した人がその試合に出た」ことですが、交渉した人が試合に出た前例が何件かあり、その人たちは何の処罰も与えられていません。学連の事務局に過去のコース交渉資料が残っているはずです。自分も今年度の男子ブロックリーグ戦のコース交渉に行き、リーグ戦にも出場しましたが、何も処罰はありませんでした。
3つ目の「本来2人で行くコース交渉を3人で行った」ことですが、これは男子ブロックのコース交渉の際はプレー代・食事代の料金を請求されなかったため、2人でも3人でも料金が請求されないなら変わらないと思い、コース交渉に3人連れで行きました。あらかじめお金がかかると分かっていた交通費等の請求は自分ともう一人しかしていません。ただこれに関しては自分が事前にゴルフ場に「無料であるか確認を取らなかったこと」「プレー代・食事代を後日請求ではなく、大会の経費と合算してしまったこと」は自分の反省すべきところだと思っています。
4つ目の「コース交渉の時のラウンドはゴルフ場の御好意でやらせてもらっているもの。2カ月前ではコースの状態も試合の時とはかけ離れているため、学連のお金でプレーさせる理由にはならない」は確かに正論だと思うものの、初耳でした。
学生ができないことを大人が補う形があるべき姿
こうした経緯からAさんは「100%納得はしていません」と語り、こう証言します。
「大会の下見が2人の定員のところ3人でプレーして、その代金を学連に請求したことが横領にあたると言われました。公衆の面前で『横領した』と言われたのは今回が初めてです」と、深く傷ついている様子。
この場に居合わせ、止めに入ったのは、有名プロゴルファーで東京国際大監督の湯原信光氏。学連の仲間や監督たちの目の前で行われた行為だけに「その話は今することじゃないでしょう」と、誤った行為を厳しく指摘したと言います。はるかに年上の理事が、その立場を利用して学生を多くの関係者がいる前で恫喝しているのだから、「パワハラではないか」との指摘が出るのも無理からぬところ。こんな行為が許されていいはずがないでしょう。
JGAの山中専務執行役も「前の会長が選んだ執行部なのだから、会長を選んで新しい執行部を作ればいいだけの話だと思います。執行部がちゃんと話し合いをするということと、1年半以上も会長代行が続いている事態(を解決すること)、この2点ですね。学生たちの会費で成り立っている、学生さんたちの組織なんだから、学生ができないことを大人たちが補ってあげるという形が、あるべき姿なんじゃないかと思いますけどね」と、あきれている様子がひしひしと伝わってきました。
日本学生選手権4連覇の倉本昌弘JGTO副会長も「もっと学生の自治を認めてあげればいいんだし、それでもし問題があればちゃんと大人がしっかりと指導していけばいいだけ。今は大人が“出過ぎて”いるんじゃないかな、と思います」と話す。
“出過ぎた”北口会長代行らの退場を、多くの監督たちと学生たちが望んでいるのは紛れもない事実。少なくとも話し合いの場には出てくる必要があるはずです。
取材・文/小川朗
日本ゴルフジャーナリスト協会会長。東京スポーツ新聞社「世界一速いゴルフ速報」の海外特派員として男女メジャーなど通算300試合以上を取材。同社で運動部長、文化部長、広告局長を歴任後独立。東京運動記者クラブ会友。新聞、雑誌、ネットメディアに幅広く寄稿。(一社)終活カウンセラー協会の終活認定講師、終活ジャーナリストとしての顔も持つ。日本自殺予防学会会員。(株)清流舎代表取締役。
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