女子プロテストの合格率3.74%は“狭き門”過ぎない!? 不合格でもQTを受験できる仕組みに戻すことはないの?

今年も様々なドラマを生んだJLPGAの最終プロテスト。19位タイまでの26人が新たに女子プロ協会会員となったが、その多くは複数受験を経験した選手でした。

女子プロテスト受験者の受験回数が増えすぎている

 10月29日~11月1日に大洗ゴルフ倶楽部(茨城県)でJLPGA(日本女子プロゴルフ協会)最終プロテストが開催されました。105人が出場し、4日間通算4オーバー19位タイまでの26人が見事合格を果たしました。

 女子プロテストは第1次予選、第2次予選、最終プロテストの3段階で行なわれています。2024年の受験者総数は695人で、合格率は3.74パーセントでした。女子ツアー人気で受験者が増えているにもかかわらず、合格ラインが「最終プロテストの競技終了時点で上位20位タイまでの者」であることは変わっていませんから、必然的に熾烈な戦いとなります。

2024年最終プロテスト合格者26人

2024年最終プロテスト合格者26人

 熾烈な戦いであることをあらためて実感したのは合格者のプロフィールを見たときです。「最終プロテスト受験回数」という項目があるのですが、トップ合格の寺岡沙弥香選手が3回、2位タイの徳永歩選手が2回、都玲華選手が4回、4位タイの荒木優奈選手が2回、神谷桃歌選手が2回と複数回受験の選手がズラリと並んでいるのです。

 合格者全員のプロフィールを確認したところ、「最終プロテスト受験回数」が1回の選手は26人中6人しかいませんでした。しかもこの受験回数は“最終プロテスト”の話です。第1次予選と第2次予選の受験回数を含めると、中地萌選手は4回、前田羚菜選手は2回、小俣柚葉選手も2回、青木香奈子選手は6回で、本当の一発合格は福田萌維選手と加藤麗奈選手の2人だけでした。

 プロゴルファーになるのが難しいからといって、高校3年生の“現役合格”が1学年に2人しかいないというのは、いくらなんでも門戸が狭すぎるのではないでしょうか。

 10月24日にプロ野球のドラフト会議が開催されましたが、12球団が69人の支配下登録新人選手を選択した中で高校生が22人いました。育成選手54人も含めれば、さらに多くの高校生がいます。

 女子プロテストとドラフト会議を一概に比較することはできませんし、プロ野球の世界も高卒ルーキーが1年目からレギュラーポジションを獲得して活躍するなんて1学年に2人くらいかもしれませんが、2人しか活躍しないのと2人しか合格しないのは大きな違いがあります。

プロテスト不合格でもQTを受験できる仕組みに戻したほうがいい?

 一方で、筆者は女子プロテストの合格者数をもっと増やすべきだと考えているわけではありません。仮に合格者数を50~100人に増やした場合、会員数が10年で500~1000人増えることになります。入会金や年会費で組織は潤うかもしれませんが、会員の技術レベルや知識レベルは下がる可能性が高いです。

 ですからプロテストの制度は今のままでも構わないのですが、翌年度のツアー出場権を争うクォリファイングトーナメント(QT)の出場資格を「JLPGA会員」と「2024年度JLPGA最終プロテスト合格者」に限定するのではなく、「2024年度JLPGA最終プロテスト受験者」あるいは「2024年度JLPGAプロテスト第2次予選進出者」に拡大したほうがいいのではないかと感じます。

 プロテスト受験者たちがなぜこれほどまで合格にこだわるかというと、合格しないとQTに出場できないからです。彼女たちがプロテストを受験する目的の一つはJLPGAの会員になることですが、それはJLPGAのツアー競技に出場するためです。ツアー競技に出場する条件が最終プロテスト合格という狭き門になっているので、多くの選手が苦しい思いをしています。

 今のプロテストは合格することでツアー競技出場のスタートラインに立てるというよりも、合格すること自体がゴールになっているように見えます。本来であれば合格した瞬間から11月19~22日に開催されるQTファーストステージを見据えるべきですが、プロテスト合格の達成感が大きすぎて、先のことはまだ考えられない選手もいました。

 プロテストとQTは別の目的で行なわれている試合であり、プロゴルファーのライセンスはなくてもQTには出場できるのがグローバルスタンダードです。2019年度から今の仕組みに変わりましたが、その仕組みをあらためて見直す時期に差しかかっている気がします。

ジャンルで探す