30代・40代も要注意! “若年性老害ゴルファー”にならないためには? 4つのチェック項目あなたは大丈夫!?
「老害」という言葉は読んで字のごとく、他人の意見を聞かずに持論を押しつけたり、周囲を不愉快な気持ちにさせたりして世代間のすれ違いを深める高齢者という意味合いで使われます。しかし、ゴルフ場において“若年性老害ゴルファー”と名付けるほかない30代・40代もいるようです。
横柄な態度、自説の押しつけ、自分語り、逆ギレ
A「ここでのアプローチ練習は禁止です」
B「………」
A「危ないのでやめてください」
B「………」
A「マナーを守りましょう」
B「そんなの勝手だろう!」
冒頭から穏やかではありませんが、マナーを注意された高齢ゴルファーが“逆ギレ”する現場を見聞きしたことがあるかもしれません。
でも実は、この場合の逆ギレの主は、50代・60代以上のシニア世代ではなく社会の中心で活躍している若い人なのです。まだ30代・40代にもかかわらず周囲から煙たがられる“若年性老害ゴルファー”が、このところ目につくようです。
そもそも老害という表現には、他人の意見を聞かずに持論を押しつけたり、周囲を不愉快な気持ちにさせたりして世代間のすれ違いを深める高齢者という意味合いが含まれています。職場やコミュニティーや街中などいたるところで、そのような言動をする高齢者が見受けられ、周囲に迷惑をかけるケースがあるといわれています。ゴルフ場も例外ではないようです。
老害の特徴には次の4つが挙げられます。一つずつゴルフのシーンに当てはめ、言い換えてみました。あっ、分かる、分かる!と思い浮かぶ場面があるのではないでしょうか。
(1)すぐ感情的になる、短気で怒りっぽい、上からものを言う
→ミスショットをすると物を蹴る・投げる、同伴者に横柄な態度をとる
(2)自分が正しいと思っている、意見を曲げない
→頼んでもいないのに同伴者に打ち方を教えたり自説を述べたりする
(3)話がくどい、説教、昔話、自慢話が多い
→スコア、飛距離、会員権などの自慢や“自分語り”をする
(4)プライドが高い、間違いを認めない、謝らない、屁理屈をいう
→ルールやマナーに関する指摘に対して無視や“逆ギレ”をする
60代以上のシニアの場合、老害といわれる言動は、加齢により感情をコントロールする脳の前頭葉が萎縮することが原因の一つに挙げられています。しかし、まだ脳機能の衰えは始まっていないはずの若い世代でも、(1)~(4)のいくつかの言動をとる人が少なくないというのです。40代、人によっては30代でも、自分より下の世代に敬遠されてしまう若年性老害ゴルファーについて考えてみましょう。
まず、若くして老害的な言動をとる原因として、どのようなことが考えられるのでしょうか。各種企業の社員研修や講演会、またプロゴルファーへの接客指導などを行なっている(株)エミー代表取締役の渡辺満枝さんに解説してもらいました。
「最近の若い人は、自分が興味のあることは深く追求する一方、興味のないことには一切関心を示さない傾向があります。どうしても視野が狭くなりがちで、あらゆる物事を熟考したり加味したりすることなく、問題の入口やその手前で『これが正しい』と決めつけてしまう人が多くなったように感じます」
「柔らかい頭で人の意見を聞き入れて自分のミスを省みる素直さを失ってしまうと、例えば、自分の知らないことや間違いを指摘されたときに『ごめんなさい』や『ありがとう』が言えない。周囲との衝突を避けてうまくやっていくことが苦手になってしまいますよね」
「職場でも家庭でもゴルフ場でも、自分より下の世代から敬遠される人にはそうした傾向があるのではないでしょうか。若い人の魅力である柔軟性や謙虚さを失っているとしたら、非常に残念です」
冒頭のように「そんなの関係ない!」「人の勝手だ!」と、聞く耳を持たず指摘を拒絶するような反応は、その典型かもしれません。
コミュニケーションの基本、あいさつと協調性を見直すこと
若年性老害ゴルファーにならないためには、ラウンド経験を通して見聞を広げる、自分本意な言動をとらないことが大切だといえそうです。では、具体的に何を心がけたらいいのでしょうか。
「生き方や考え方を変える…という大きなことではなく、コミュニケーションの基本であるあいさつと協調性を見直すことから始めてはいかがでしょうか」
「まず、朝ゴルフ場で会った時とスタート前は、同伴者に笑顔できちんとあいさつをして良い関係を作りましょう。ここがうまくいかないと感じの悪い人、無愛想な人、偉そうな人などと思われてしまうからです。相手が上の世代だったら『何かあったら言ってやろう』と思うかもしれませんし、下の世代だったら一日中話しかけてこないし近づいてもこないかもしれません」
「あいさつの延長として、できれば前の組の人を『いってらっしゃい』と笑顔で送り出し、後ろの組の人には『いってきます』と声をかけましょう。前後の組とは1日ずっと関わることになります。ほんの一言ですが、声をかけることでお互いの気持ちをほぐす効果があり、スムーズな進行に一役買ってくれます」
「また、プレー中は同伴者に対してぶっきらぼうな言い方や命令口調は決してせず、みんなで乗り切る姿勢を持って話すことが大切です。英語の表現ならDon’tではなく、Let’sを使って提案するのです。例えば、前の組がフェアウェイにいるのに打とうとしている人には『まだ打てません』より『前のカートが動き出すまでもう少し待ちましょうか』、のんびり気味の人には『スロープレーです!』より『少し空きましたね、前の組に追いつきましょうか』。主語がYouではなくWeになることによって、私もそうしますという意味合いになり、連帯感や気遣いが相手に伝わります」
「また、人からミスを指摘された時は『そうでしたか、失礼しました』『はい、そうします』『ありがとうございます、私はこうしますね』というように、相手の言い分を聞いたり受け入れたりしてから返事をし、そのあとに自分がどう対処するかを示すことが大切です」
これらの秘訣を頭に入れておくと、冒頭のやりとりを次のように変えることができるのではないでしょうか。
A「ここでのアプローチ練習は禁止です」
B「そうでしたか、失礼しました」
A「アプローチ練習場はあちらにありますよ」
B「ありがとうございます、そこへ行ってみます」
ちょっとした言い方、返し方によって相手の反応が穏やかになり、雰囲気もよくなります。最近なんとなく人に避けられているなと感じていた人は、職場でも家庭でもゴルフ場でもこの姿勢を忘れなければ、陰で「若いのに老害」などといわれたり、敬遠されたりすることはなさそうです。
10/31 11:10
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