初優勝後の勝率は驚異の39%!竹田麗央の「歴史的ハイペース優勝」は過去のレジェンドと比較してもスゴイのか?

「日本女子オープンゴルフ選手権」は竹田麗央(たけだ・りお)が優勝、今季の勝利数を「7」として年間女王へさらに前進した。初優勝から18試合で7勝という驚異のペースで勝利を重ねる竹田だが、実際に過去のレジェンドと比較してみた。

不動裕理を上回るハイペースで勝利を重ねる竹田麗央

 竹田麗央がまた勝った。「日本女子オープンゴルフ選手権」を制して早くも7勝目。4月に初優勝を飾ってからわずか18試合で7勝は女子ゴルフ界のレジェンドたちを凌駕する歴史的なハイペースだ。

 女子ゴルフの歴史をひもとけば、一つの勝利で劇的な変身を遂げた選手が何人かいる。その典型的な例が歴代3位の通算50勝を挙げた不動裕理である。

日本女子オープンを制し、早くも自身メジャー2勝目、通算7勝目を手にした竹田麗央 写真:Getty Images

日本女子オープンを制し、早くも自身メジャー2勝目、通算7勝目を手にした竹田麗央 写真:Getty Images

 プロデビュー年から安定した成績でシード入りした不動は度々優勝争いに顔を出しながら惜敗が続いていいた。2位を6回、3位を5回(ともにタイを含む)経験してからようやく初勝利をつかんだのはデビュー3年目の1999年11月、「伊藤園レディス」だった。

 不動は翌2000年、6勝を挙げて女子ツアー史上初の年間1億円突破を果たして賞金女王に就くと、6年もその座を守った。

 不動が現在の竹田と同じ通算7勝目をマークしたのは2000年10月の「SANKYOレディース」。初優勝からたったの25試合しか要していなかった。この期間の勝率は28%という高さである。

 竹田も初優勝までは悔しい試合が続いていた。今季2戦目の「明治安田レディスヨコハマタイヤ」では首位の鈴木愛とは6打差ながら3位で最終日に入り、最終組でプレーするもスコアを伸ばし切れず5位に後退した。

 翌週の「Vポイント×ENEOS」は初めて首位タイで最終日に向かう。悪天候でインの9ホールに短縮されたファイナルラウンドはいきなり連続ボギーを叩く苦しい展開。同じく首位タイで出た鈴木愛小祝さくらがスコアを伸ばしてプレーオフに進む中、5位タイで大会を終えている。

 2週間後の「ヤマハレディースオープン葛城」では2打差の単独首位から初優勝を目指すが73とスコアを落とし、1打差で涙を飲んだ。抜群の飛距離を有するポテンシャルの高さは誰もが認めるところだが、大事なところでスコアを伸ばせないことが課題だった。

 ところが、故郷・熊本開催の「KKT杯バンテリンレディス」で3打差3位タイから逆転で待望の初優勝を飾って激変した。初優勝の直前、叔母で賞金女王2度の実績を誇る平瀬真由美から「優勝は取りに行っても来るものではない」とのアドバイスを受け、結果ばかりを気にして気持ちが先走っていたそれまでの優勝争いを反省。自分のプレーに徹して結果を待てるようになった。

 ここからの竹田は逃げ切りあり、逆転ありと優勝争いにめっぽう強くなった。6月の「ニチレイレディス」こそ逆転負けを喫しているが、それ以外は優勝争いをことごとく制している。

不動の持つ「年間10勝」という大記録更新も見えてきた

 故郷の大先輩・不動を凌駕する初優勝から18試合で7勝の固め打ち。勝率は驚異の39%である。

 初優勝から7勝目までの所要試合数で竹田よりも少ないのはたった1人、樋口久子しかいない。樋口は何と初優勝から9試合で7勝目を手にしているのだ。ただ、当時はまだ女子プロの人数自体が少なく、樋口の独壇場だったという時代背景かあるから特例といえる。トーナメントの出場人数などが現在のような形になって以降では不動の25試合が最速だったから、竹田の18試合は想像を絶するレベルのスピードである。

 永久シード選手(通算30勝以上)のうち既出の樋口、不動以外の4人(岡本綾子大迫たつ子、ト阿玉、森口祐子)はいずれも40試合以上かかっている。現役の選手で目につくのは33試合の上田桃子だ。上田も勝てそうで勝てない期間があったが2007年に初優勝して一気にブレークした。“藍ちゃんフィーバー”を巻き起こした宮里藍は若くして勝ちまくっていたが、それでも初優勝から7勝目までは38試合かかっている。

 “日本女子オープンチャンピオン”の称号を新たに加えて、竹田の歴史的な快進撃はさらに勢いを増していくのか。今季は残り8試合。不動の持つシーズン10勝の大記録の背中がおぼろげながら見えてきた。

竹田 麗央(たけだ・りお)

2003年4月2日生まれ、熊本県出身。21年プロテスト合格で同期には櫻井心那、神谷そら、川崎春花らがいる。母親はツアープロの平瀬哲子、叔母は元賞金女王の平瀬真由美。24年「KKT杯バンテリンレディスオープン」でツアー初優勝を遂げると、翌週の「フジサンケイレディスクラシック」を勝って2連勝。9月には「ソニー 日本女子プロ選手権」「日本女子オープン」と国内メジャー2連勝を達成した。ツアー通算7勝。ヤマエグループHD所属。

ジャンルで探す