カップまで届いているのに「弱い」ってどういう意味!? パター巧者は知っている「入る」タッチと「入らない」タッチとは?

スコアメイクで重要なパッティングは、うまく打つだけでなくラインの読みとタッチを合わせなければ入らない難しいゲームです。カップまでの距離感が合っている時に限って曲がってしまったり、うまく打てた時に限り読みどおりに曲がらないものです。インドアゴルフレンジKz亀戸店・筒康博ヘッドコーチは「トーナメント中継時の解説にタッチを合わせるヒントがあります」といいます。

「寄せるタッチ」と「入りそうなタッチ」に違いとは

 昔から「パットイズマネー」といわれるほど、パッティングはスコアメイクで非常に大きなウエートを占めています。ロングパットをタップインできる距離まで「寄せるタッチ」を身につけるのは練習次第で可能ですが、ラインと強さを合わせた「入りそうなタッチ」を身につけることは簡単ではありません。

距離は合っているはずなのに、早く曲がってしまった時に「弱い」いわれるのはなぜ?

距離は合っているはずなのに、早く曲がってしまった時に「弱い」いわれるのはなぜ?

 曲がりの大小に関わらず、カップインするためにはカップまで届くことが最低条件です。弱いタッチで打つほど曲がりが大きくなりカップの入口は狭くなります。

 強く打てば曲がりは少なくなりカップインの可能性は高くなりますが、外れた時の返しが距離的に厳しくなるリスクもあります。

 一般的に「入りやすい強さ」は30センチ〜1メートル程度オーバーするのがいいといわれていますが、アマチュアは強いタッチで打つほど3パットの確率が高くなってしまうのが現実でしょう。

2パットで収める「寄せるタッチ」とラインとボールのスピードを合わせる「入るタッチ」では総合的な技術レベルは違う

2パットで収める「寄せるタッチ」とラインとボールのスピードを合わせる「入るタッチ」では総合的な技術レベルは違う

 そこで今回は3パットを出来るだけ回避しながら「入りそうなタッチ」を身につけるヒントを紹介します。

どんな「返しのパット」を残すか重要

「フックラインなら右から」「スライスラインなら左から」がライン読みの基本ですが、大きく曲がり読むのが「プロライン」で浅く読むのが「アマライン」だと勘違いしている人を多く見かけます。

 そこで、周りの人の邪魔にならない時に練習グリーンで「入りそうなタッチ」であるプロラインと「寄せるのが精一杯なタッチ」なアマラインの境界線をチェックしてみましょう。

「ちょうどよい強さ」(青の矢印)に対して、曲がりが遅くなってしまう強いタッチを「プロライン」(赤の矢印)、しっかり打てなかったため早く曲がってしまうのが「アマライン」(黄色の矢印)

「ちょうどよい強さ」(青の矢印)に対して、曲がりが遅くなってしまう強いタッチを「プロライン」(赤の矢印)、しっかり打てなかったため早く曲がってしまうのが「アマライン」(黄色の矢印)

 同じラインから何球か「同じ打ち出し方向(スパット)」でタッチの強弱を変えてパットしてください。強めのタッチで打った時、少ない曲がりでカップをかすめてオーバーできれば一応「プロライン」です。

 カップに届くかどうかのやさしいタッチで打った時、早めに曲がって外れたなら「アマライン」です。

 もちろん、外れた時にOKにならないような強過ぎるタッチは除外しますが、カップの真横からしか入らないような大きく曲がるタッチではなく、曲がりを浅く読んだ「プロライン」が「入りそうなタッチ」になります。

 トーナメント中継の解説を聞いていても、外れたのに「しっかり打てている」とパッティングをほめたり、逆にカップまで届いているのに手前で切れたパットを「打ててない」と表現することがあります。

 一度通通過することでラインが分かる返しのパットを残せる「プロライン」と、カップインの確率が少ないうえに未知のラインが残ってしまう「アマライン」ではセカンドパットが入る確率は大きく変わるのです。

フックラインは「左ふち」スライスラインは「右ふち」狙いが理想?

 あくまで個人の感想ですが、キャディ経験やラウンドレッスンを通したアマチュアゴルファーの「パターあるある」を紹介します。

 平均的にパット数が少ないパター巧者ほど「このライン曲がる? 曲がらない?」と聞くのに対し、自信がない人は「どのくらい曲がるの?」と、どんな場面でも「曲がる前提」でライン読みやタッチを作る傾向があります。

入れごろの距離ほど「カップの中心」を通すルートで狙うのがセオリー

入れごろの距離ほど「カップの中心」を通すルートで狙うのがセオリー

 プロトーナメントのようにスピードが速くて傾斜の強いグリーンなら、2パットで収めるための「大きな曲がりの読みとタッチ」も必要な時もありますが、一般営業のグリーンでスティンプメーターが10フィート以下というスピードがほとんどです。

 入れごろのパットで曲がりを読みすぎて「切れなかった」と嘆くより、ラインを浅く読みすぎて「打てなかった」と口に出す方が、「入るタッチ」に近づくチャンスがあります。

 パッティングの基本は「距離感」ですが、大オーバーを怖がり過ぎて「未知のライン」のセカンドパットを残すぐらいなら、曲がりが読める「返し」を残す方が3パットは少なくなるはずです。

【解説】筒 康博(つつ・やすひろ)

伝説のプロコーチ・後藤修に師事。世界中の新旧スイング方法を学び、プロアマ問わず8万人以上にアドバイスを経験。スイング解析やクラブ計測にも精通。ゴルフメディアに多数出演するほか「インドアゴルフレンジKz亀戸」ヘッドコーチ、WEBマガジン&コミュニティー「FITTING」編集長やFMラジオ番組内で自らコーナーも担当している。

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