桑木志帆が取り戻した“忘れ物” 因縁の地で成し遂げたリベンジにあふれる涙… 「18番で決着をつけたい」

大会最終日を迎えた国内女子ツアー「資生堂レディス」。首位と1打差の2位タイから出た桑木志帆(くわき・しほ)が「69」をマークし、通算11アンダーで悲願の初優勝。プレーオフで敗れた昨年のリベンジを達成した。

「今年はプレーオフにしたくない」

◆国内女子プロゴルフ<資生堂レディスオープン 6月27~30日 戸塚カントリー倶楽部(神奈川県) 6697ヤード・パー72>

 国内女子ツアー「資生堂レディス」の最終ラウンドが行われ、首位と1打差の2位タイから出た桑木志帆が逆転優勝。通算11アンダーをマークして、悲願の初勝利を手にした。

昨年プレーオフで敗れた“因縁の試合”で初優勝を手にした桑木志帆 写真:Getty Images

昨年プレーオフで敗れた“因縁の試合”で初優勝を手にした桑木志帆 写真:Getty Images

 涙が止まらなかった。

 2位につける堀琴音と1打差で迎えた最終18番。大勢のギャラリーが見守る中でウイニングパットを沈めると、両手を大きく広げて喜びをかみしめた。

 グリーンを離れるとそれまでこらえていた涙が一気にあふれだす。勝利の瞬間をグリーン横で見届けた同期の岩井姉妹や佐久間朱莉からハグで祝福を受けたが、「いるって知らなくて。ホッとしましたし、すごいうれしかった」とその涙はさらにあふれる。

 桑木にとっては“因縁”ともいえる今大会。昨年は通算10アンダーで並んだ櫻井心那とのプレーオフに敗れて人目をはばからず大号泣。それだけにこの試合に懸ける思いは人一倍あったはずだ。

「今年はプレーオフにしたくない。18番で決着をつけたい」と強い気持ちを持って臨んだが、結果的に昨年のスコアを“1打”上回る11アンダーで文句なしの優勝。

 周囲からは初優勝を期待する声も多く聞こえていたというが「プレッシャーになることはあったけど、期待されているのはうれしいこと。やっといい報告ができる」と胸をなでおろす。

 表彰式はあいにくの雨模様の中で行われ「晴れたところで写真を撮りたかった」と苦笑いを浮かべたが、優勝スピーチでは「昨年の忘れ物を取りに来られて本当によかった」と喜びを語った。

 今後の目標について聞かれると「2勝目です」と力強く宣言した桑木。青空のもとで優勝トロフィーを掲げる姿も、そう遠くない未来に見られるはずだ。

桑木 志帆(くわき・しほ)

2003年生まれ、岡山県出身。21年6月に実施されたプロテストに合格。同年の新人戦「加賀電子カップ」で優勝を挙げている。2023年シーズンは「ブリヂストンレディス」(3位タイ)、「資生堂レディス」(2位)、「北海道meijiカップ」(2位)、「CAT Ladies」(3位)、「TOTOジャパンクラシック」(2位タイ)などの活躍で、メルセデス・ランキング10位に入る。24年「資生堂レディス」で悲願のツアー初優勝を成し遂げた。大和ハウス工業所属。

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