「守るものがなくなって逆に吹っ切れた」 昨季シード落ちの“黄金世代”大里桃子が3年ぶりV

宮里藍サントリーレディスの最終日、1打差の2位から出た大里桃子(おおさと・ももこ)が6バーディーを奪う猛チャージで「67」、通算12アンダーで優勝した。3年ぶりツアー3勝目を飾り、8月開催の全英女子オープンの切符も手にした。

スイング変えて持ち球をフェードに

◆国内女子プロゴルフ<宮里藍サントリーレディス 6月6~9日 六甲国際ゴルフ倶楽部(兵庫県) 6526ヤード・パー72>

 昨季は不調でシード権を失った“黄金世代”の大里桃子が、華麗な復活劇を見せた。最終日は3番パー3でボギーが先行。「最終日は逃げないゴルフ、攻めていくしかないと思っていた。ボギーを打ったパー3も攻めた結果。ミスショットになったけれど、あまり悔いなくさらっとプレーできた」と振り返る。

3年ぶりツアー3勝目を飾った大里桃子 写真:Getty Images

3年ぶりツアー3勝目を飾った大里桃子 写真:Getty Images

 4番パー5ではピンまで86ヤードの3打目を54度で1メートルに寄せてバーディー。

「バウンスバックもできたので、くよくよせずできた」

 そこから6、7番と15、16番で連続バーディーを奪うと、最終18番は1.5メートルのバーディーパットをきっちりと沈めて、2021年「ほけんの窓口レディース」以来、3年ぶりの3勝目を手にした。

「涙は少し出たけれど、思っていたほど出なかったです。オフに取り組んできたスイングがうまくいって、自分に合うスイングができるようになりました。ショットに不安がなくなったことで、最後まで気持ちよく振れるようになった。昨年の不調が嘘のようなゴルフができてうれしいです」

 昨年は初のシード落ちを経験し、「一番悔しかった。ゴルフを辞めようかと思うくらいだった」と振り返る。「でも逆に吹っ切れた。守るものがなくなったという感じで、チャレンジ精神でできる年かなという気持ちでゴルフに向き合えた」。

 思い切って持ち球をフェードに変えた。「少し兆しも見えて、QTも上位に入ることができて、今年のツアー出場に繋がっています。今年はゴルフを楽しむことがメインで、シーズンに入る時にテーマを立てて臨めていた」

高校生以来の海外「まずはパスポートの準備から」

 練習と努力が実を結ぶと精神的にも楽になり、プレーに余裕ができた。そしてさらにうれしいのは全英女子オープンの出場権を得たこと。大里にとっては初の海外メジャー挑戦となるが、「明日実家に帰るので、まずはパスポートの準備をしたい。海外に行くのも高校生以来。人生で一番遠い所に行くことになりそうです」と笑顔を見せる。

 そこで楽しみにしているのは同年代の渋野日向子との再会。「会う機会も減ってしまい、なかなか連絡も自分からは取らないですが、これを機に連絡をして、練習ラウンドも一緒に回ってほしい。色々と教えてもらいたいです」。

 渋野の全米女子オープンで2位に続き、先週の国内ツアーでは同年代の新垣比菜が6年ぶりの優勝したことでも刺激をもらった。「こういうのっていいな」と思っていた矢先の復活優勝で、輝きを取り戻した大里。次は周囲に刺激を与える番だ。

大里 桃子(おおさと・ももこ)

1998年8月10日生まれ、熊本県出身。渋野日向子畑岡奈紗らツアーを席巻している“黄金世代”の一人。2018年のプロテストに合格し、同年の「CAT Ladies」で初優勝。プロ入り後23日目での優勝はツアー最短記録。2024年「宮里藍サントリーレディス」で3年ぶりツアー3勝目を挙げた。伊藤園所属。

ジャンルで探す