「ゴルフをするのが嫌。楽しくない」 イ・ボミが本音で語った“ツアー選手ではない生活”とは?【引退後“初”独占インタビュー】

昨季限りで日本ツアーを引退したイ・ボミ。ツアー出場のない初めての年を過ごしているが、たびたび日本で仕事をしていることも伝えられている。いま彼女はどんな心境でどのような生活を送っているのか。これからやりたいこと、やりたくないこと、人生設計など様々な話を韓国で聞いてきた。

「今はもうツアーに未練はない」

 2023年限りで日本ツアーを引退したイ・ボミ。ツアー出場のない初めての年を過ごしているが、たびたび日本で仕事をしていることも伝えられている。いま彼女はどんな心境でどのような生活を送っているのか、今後の人生設計など様々な話を韓国で独占インタビューした。

――日本ツアーを引退してから初めて「何もない」シーズンを迎えましたが、気分はどうですか?

イ・ボミ(以下ボミ) とてもいい気分です(笑)。日本を離れて何が一番いいのかと考えると、明日が練習も試合もなく、その先に何かをすべき計画がないということ。今の自分にはゆったりした生活がとても心地いいんです。

最近改修したという韓国・スウォンにある個人事務所でインタビューに答えてくれたイ・ボミ

最近改修したという韓国・スウォンにある個人事務所でインタビューに答えてくれたイ・ボミ

――ゴルフに縛られていた生活から抜け出した今の生活が充実しているようですね。

ボミ シーズン中は試合を休んだとしても翌週には試合がありますし、急に出たり出なかったりと予定がコロコロと変わることもあります。そうした生活を十数年も続けてきたので、今の生活がとてもキラキラしています(笑)。

――少しはゴルフ場での試合が懐かしくなったりしませんか?

ボミ もちろん結果を残している選手を見ると、すごくカッコいいなと思いますし、自分ももっとうまくゴルフができたはずなのにと考えることもあります。ただ、ツアーからは完全に離れたので未練はありません。

――現在は日本と韓国を行き来しながら、様々な仕事をこなしていると聞いています。主にどんな活動をされていますか?

ボミ 月に1回は日本に行って、2~3個ぐらい仕事をこなすことが多いです。そこまで多忙ではないので、夫(イ・ワンさん)や友人たちと旅行に行く機会も増えました。今年1月はアメリカで1カ月過ごしましたし、最近は済州島にも行きました。

――ちなみにたまにゴルフはしているのでしょうか?

ボミ 旅行や日本の番組に出演したりした時にクラブを握るくらいで、自分から練習場に行ったり、友達とゴルフの約束することはほとんどないんですよ。私があまりにもプレーするのが嫌なのを周囲もよく知っているので、夫や母(ファジャさん)も「ゴルフに行こう」といってこないです(笑)。

「ゴルフをするのが嫌。楽しくない」と夫に伝えると…

――そんな状態なのですか? ゴルフをしたくないとは意外です。

ボミ ゴルフをするとあまりにもスコアが悪いからです。練習していないので当然なのですが、ラウンドするたびに何がダメで問題なのかと自分で分かってしまうのが嫌で……。それを修正したくてもできないし、ゆったりとした軽いスイングができない。今は全体的に力が足りないので、ボールにパワーも伝わらない。なので今は本当にゴルフってトレーニングが重要だったんだなって思いながらラウンドしています(苦笑)。

――ツアーから離れた身なので、もっと気楽にゴルフしてもいいと思います。

ボミ いいえ、決してそうではないんです。ゴルフがうまくできていたから楽しかった。思い描いたどおりにボールが飛んだり、狙った場所にいくのが楽しかったわけです。難しいピンポジションでもバーディーが取れたり、60台を3日連続で出したりするのが楽しかったのが分かりました。今はフェアウエイから打ってもボギーを簡単に打ってしまうのがストレスなんです。この前も済州島でゴルフをしたときにボギーを4つも打つので、あまりにも悔しくて、夫に「もうゴルフするのは嫌だ。楽しくない」と話したくらいです(笑)。

――夫のイ・ワンさんはその時、どういいましたか?

ボミ 「ストレスから離れるために日本ツアーを引退したのに、そうした心の痛みもなくゴルフができることにはもっと感謝したほうがいい」っていわれました。でもいざゴルフ場に立つと、まだ気楽にはゴルフができない。自分が打ちたい目標があるのにそこに飛ばないと、なんで? となるからしんどいですよね。

――そこはやはりプロゴルファーとしてのプライドが許さないということでしょうか。

ボミ 今はまだ仕事とはいえどこに行っても、イ・ボミというスイングやゴルフを見せる立場にあるので、“楽しい”という気分に切り替わるのはもう少し先かもしれません。そうしたプレッシャーを感じなくなるのは、ゴルフの仕事が一切なくなった時かもしれませんね(笑)

日本ツアー引退後もスポンサー契約は8社

――日本を離れたあとも、新たなスポンサー契約が増えていると聞いています。いま何社と契約しているのでしょうか?

ボミ 大きくは本間ゴルフ、SKテレコム、マーク&ロナ、エイビスレンタカー、韓国エプソンの5つですが、細かいのを含めると8社です。これは本当に感謝しています。韓国では引退した選手にはスポンサーがつくことは本当に稀なことで、私もこれから少しはお金の心配をしていかないといけないと思ったのですが、支えてくれる企業が今もあることが不思議なくらいです。なので、なるべくメディアの露出を増やそうと努力しています。

事務所内にはコレまでの功績を称える様々な展示がされている。中には表紙を飾った日本のゴルフ雑誌もあった

事務所内にはコレまでの功績を称える様々な展示がされている。中には表紙を飾った日本のゴルフ雑誌もあった

――具体的にはどういった努力をしていますか?

ボミ これまでは試合に出て結果がよければテレビに映ったり、メディア取材があったので、知名度も上がりましたが、今はそうでない立場です。なのでまずは日韓でのテレビ出演のほか、YouTubeの撮影、インスタグラムでもなるべく仕事や日常の様子をアップして、多くの人が私のことを身近に感じてもらうようにしています。

イ・ボミ

1988年8月21日生まれ、韓国出身。2010年に韓国女子ツアー賞金女王となり、11年から日本ツアーに参戦。15年に7勝、16年は5勝して2年連続で賞金女王となる。ツアー通算21勝。19年12月に俳優イ・ワン氏と結婚。23年シーズンをもって日本ツアーからの引退を発表した。愛称は“スマイル・キャンディ”。延田グループ所属。

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