サブグリーンってなんのためにあるか知ってる? 知っておくべきボールが乗ってしまった時の正しい対処法

日本のゴルフ場では、1ホールにグリーンが2つ設けられていることがよくあります。使用していないグリーンを「サブグリーン」と呼びますが、何のためにあるのでしょうか。

日本独特の事情に合わせて生まれた

 ゴルフは、ティーイングエリアからボールを打ち始めて、最終的にグリーンに切られているカップに入れるまでを「1ホールぶんのプレー」としています。

日本特有の「2グリーン」のゴルフ場 写真:PIXTA

日本特有の「2グリーン」のゴルフ場 写真:PIXTA

 要するに、グリーンは各ホールにおけるゴール地点としての役割を果たしていますが、日本の多くのゴルフ場ではグリーンが横に2つ並んでいる様子をよく見かけます。

 使用していない方のグリーンは「サブグリーン」と呼ばれますが、ビギナーは「ゴールは1つでいいのでは?」と思うかもしれません。では、グリーンが2つあるのにはどのような理由があるのでしょうか。全国でゴルフ場を運営する、東急リゾーツ&ステイの広報担当者は以下のように話します。

「グリーンは各ホールに1つずつ設けられているのが本来の姿です。しかしグリーンの芝は毎日多くのゴルファーに踏まれたり、高く上がったボールを受け止めなければならず、1つしかないと劣化が進んでしまいます。場合によっては病害が蔓延して、一気に広がってしまう恐れもあるのです。そのため、一方を『メイングリーン』、もう一方を『サブグリーン』として運用し、常にどちらかを休ませる状態を作ることで、芝の傷みが早まるのを防いでいます」

「また、高温多湿になりがちな日本の気候を考えると、暖地型の芝である『コーライ芝』を使用するのが望ましいですが、よりボールの転がりがスムーズな『ベント芝』の方が、ゴルファーに好まれる傾向にあります。しかし、ベント芝は寒地型で日本の気候にはあまり向いていないことから、多くのゴルフ場でコーライ芝とベント芝の2種類のグリーンを設け、季節に応じて交互に使う方法がとられるようになりました」

「2グリーン制は、全国で42か所のコースを生み出し『ゴルフ場設計の第一人者』として知られる井上誠一氏が初めて導入しました。日本独自のもので、世界的に見れば独特な形態となっています」

「ちなみに、東急リゾーツ&ステイが運営するゴルフ場では各コースの事情に合わせて『コーライとベント』『どちらもベント』と、同じ2グリーンであっても芝の種類が同じところと違うところに分かれているそうです。芝の種類が同じでメイングリーンの一部で傷みが目立ってきた場合には、休止中のサブグリーンの芝を切り分けて移植する措置も取られています」

「さらに最近は暑さに強い耐性を持っているだけでなく、ボールマークがつきにくくスピードも申し分ないバミューダ芝とベント芝の組み合わせに変更しているゴルフ場も増えてきています」

サブグリーンにボールが乗ったらどうすればいい?

 では、万が一使用されていないサブグリーンに誤ってボールを乗せてしまったらどのように対処すればよいのでしょうか。広報担当者は以下のように話します。

「サブグリーンは、メイングリーンに何かあった時に備えての『スペア』という一面もあるため、芝の保護の観点からパターも含めて直接クラブで打って外に出すことは禁止しています」

「弊社で定めているローカルルールとしては、グリーンを4分割にしてボールの止まっている位置に応じ、ピンに近づかない程度の範囲内でノーペナルティーで外にドロップすることを推奨しています」

「また、最新版のゼネラルルールでは『ピンを中心とした時に最もボールから近いグリーンの外をニアレストポイントとし、そこから1クラブレングス以内の範囲にドロップする』と定められています」

「2012年まで、JGA(日本ゴルフ協会)ではサブグリーンを『スルーザグリーンの1つ』と扱い、そのまま打つことも認められていましたが、以降は世界標準の『目的外のパッティンググリーン』としたことで、スタンスがかかっているだけの場合でも無罰で救済を受けるのが義務化されました」

「要するに、かつては日本と海外とではサブグリーンの扱い方が異なっていため、プロの試合でも海外選手が日本でプレーした際や日本の選手が海外でプレーした際には、解釈の違いで2罰打を受けるなどトラブルがよく発生していたようです」

最近では、海外の設計家によるゴルフ場の台頭や、品種改良によって夏でも弱りにくいベント芝の導入が進み、1グリーンにするゴルフ場も増えてきています。ただし、今でも2グリーンのところも多いので、もしもサブグリーンに乗せてしまった場合は、適切な対処ができるようにしましょう。

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