「泊まりでゴルフ」は廃れたのか!? 宿泊パックが人気だったゴルフ場がロッジの営業を終了するワケ

遠方のゴルフ場では、前泊する人や連続でプレーする人のために「ロッジ」を併設している所も多い。しかし、コロナ禍以降はその使用率も低下しているといいます。

宿泊単体では営業利益が出なくなったのでクローズを決定

 3月に入り、白河国際カントリークラブ(福島県)から封書が届きました。封筒を開けてみると2024年の宿泊割引券と0.5ラウンド無料プレー券が入っていたのですが、その中に気になる一文がありました。2024年9月30日のチェックアウトをもってロッジの営業を終了するというのです。

 筆者は2022年の秋にこちらのロッジを利用して宿泊プレーを楽しみましたが、宿泊者専用のひのき風呂など風情のある設備があり、とても快適に過ごすことができました。

ゴルフ場に併設されたロッジやホテルの営業は厳しい?(写真はイメージです) 写真:unsplash

ゴルフ場に併設されたロッジやホテルの営業は厳しい?(写真はイメージです) 写真:unsplash

 何だかもったいない気がするのですが、どうしてこのタイミングで営業を終了することに決めたのでしょうか。ゴルフ場の担当者に聞いてみました。

「ウチのゴルフ場は1975年開場で、来年50周年を迎えます。27ホールでオープンし、その後9ホール増設して36ホールで営業していました。ロッジも開場当初からあります」

「オープン当初は東京からのお客様も多く、1泊2プレーの宿泊パックが人気でした。多いときは年間7000人の宿泊者がありました」

 今のゴルファーにはあまり実感が湧かないかもしれませんが、1970年代から1980年代はゴルファーの需要に対してゴルフ場の供給が足りておらず、ゴルファーはプレーできるコースを求めて東京から福島まで足を伸ばしていました。

 白河は福島といっても栃木県の県境を越えてすぐの県南エリアです。東北自動車道白河インターまで川口ジャンクション起点で169.7キロですから、東京から約2時間で着きます。昭和の時代は片道2時間の遠征なんて当たり前でした。

 そういう時代が1990年代まで続きましたが、2000年に入ってからゴルフ場の経営交代ラッシュが起こり、東京から近いゴルフ場が割安料金でプレーできるようになったので、片道100キロ以上のゴルフ場には足を運ばなくなりました。

「転機となったのは2017年でした。預託金の償還期限を迎えたので安達太良コースの18ホールを売却し、預託金を返還する原資を調達しました。ゴルフ場は那須・磐梯コースの18ホールで営業を続けることになりました」

「これによって1泊2プレーのニーズが減り、宿泊者が半減しました。それでも3500人くらいの宿泊者がいれば収支はボーダーライン上でした」

「しかしながら2020年に新型コロナウイルスが流行し、宿泊者がさらに半減してしまいました。2020年から2023年まで宿泊単体では営業利益が出ない状況が続いていました」

「さらに今、電気代や重油代も高騰していますから、このまま営業を続けても赤字になるだけです。採算が合わないので昨年12月の理事会でクローズが決定しました。幸いなことにゴルフ場はお客さんが入っていますから、経営資源をゴルフ場に集中するということです」

施設の老朽化も営業終了の要因の一つ

 また、開場から約50年が経過して施設が老朽化したことも営業終了を決断する要因になったそうです。

「ロッジを建設してから50年が経過していますから、修繕費もけっこうかかっていました。普通の家だって50年住んでいたら、いろいろ直さなきゃいけませんからね」

「ウチのロッジはボイラーの調子があまりよくなくて、お湯がぬるかったりするのを宿直者が対応しなければなりませんでした」

「また、今はゴルフ場で働いてくれる人を確保するのも大変な人手不足の時代ですから、ロッジで働いていた人たちにゴルフ場で働いてもらうという人材資源の集中もあります」

 ちなみにロッジの営業終了時期が2024年いっぱいではなく9月30日のチェックインまでとなっているのは、暖房器具の効き目も悪くなっているため、寒くなる前に営業を終了するとのことでした。

 残念な話ではありますが、せっかく宿泊割引券を送っていただいたので、9月30日までに足を運ぼうと思っています。今後も老朽化や燃料費の高騰などが原因で、白河国際CC以外でもロッジを閉鎖する動きがあるかもしれません。

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