トッププロもやってるテークバックのチェック法は? 正しく始動するとフェースはどう見えるのか

多くのツアープロのコーチとして活躍している石井忍氏が、“ここはスゴイ”と思った選手やプレーを独自の視点で分析します。今回は、ツアー外競技「マイナビ ネクストヒロインゴルフツアー」の開幕戦「マイナビカップ」で優勝した向井七海(むかい・ななみ)です。

「マイナビ ネクストヒロイン」開幕戦Vの向井七海

 マイナビ ネクストヒロインゴルフツアーの開幕戦「マイナビカップ」が行われました。このツアーは、プロテスト合格を目指す若手女子ゴルファーに真剣勝負の場を提供する目的で発足し、今年で6年目を迎えます。

 2日間競技の開幕戦には、昨年の同ツアーで複数回優勝を飾っている坂口瑞菜子選手、佐渡山理莉選手、そして2月開催のツアープロも参加した「マイナビチャレンジマッチTHE Heroines2024」で優勝した和久井麻由選手ら、60名が出場しました。

マイナビ ネクストヒロインゴルフツアー開幕戦を制した向井七海 写真:石井忍氏提供

マイナビ ネクストヒロインゴルフツアー開幕戦を制した向井七海 写真:石井忍氏提供

 そんな中、優勝したのは初日に4アンダーをマークし、単独トップで2日目を迎えた向井七海選手です。最終ホールでバーディーを奪い、通算7アンダーの池羽陽向選手、アマチュアの臼井蘭世、佐渡山選手を抑えて通算8アンダーで初出場初優勝を飾りました。

 向井選手はゴルフの強豪・東北福祉大出身で、4年生の時にはキャプテンを務めたそうです。学生時代に「全国大学ゴルフ対抗戦」などで優勝している向井選手は、今大会でも終始テンポよくプレーしていたのが印象的でした。

 例えば、パッティングではボールを置いてから素振りをしてストロークを始めるまで20秒以内という速さ。ウイニングパットを打つ時も、プレッシャーがかかる中でこのルーティンを保っていました。

 時間をかければかけるほど、体が硬直してスムーズに動けなくなっていくもの。向井選手はその辺りを意識してテンポよく打つことを心がけているのかと思っていましたが、プレー後に聞いてみると、「迷わずに決め打ちすることは気を付けていますが、テンポは体に沁みついた感覚です」とのことでした。無意識にこのルーティンで打つことができれば、どんな重圧にも対応できるはず。今後の活躍が楽しみです。

クラブを上げてフェースの角度を“チラッ”とチェック

 向井選手はショットを打つ前にも特徴的な動きがあります。それは、腰のあたりまでクラブを上げてフェースの向きをチラッとチェックする動作です。このルーティンは、稲見萌寧選手や今年のマスターズで2位に入ったルドヴィグ・オーバーグ選手ら多くのトッププロも取り入れています。

「緊張した場面でも安定したショットが打てるように、大きい筋肉を使ってスイングすることを意識しています」と向井選手。クラブを上げてチラッとフェースの角度をチェックする動作は、手打ちを防ぐ目的があるそうです。

 クラブを手で上げるクセがある人は、向井選手のこの動作を参考にしてみてください。腰の高さまでクラブを上げた時に、フェースが自分の前傾角度と同じくらいの傾きになっていればOKです。ただし、手首を使ってこの角度を作るのはNG。フェース面が斜め下を向くように、しっかり胸を回して始動しましょう。この感覚でテークバックすれば、腕と体が一体化しやすくなり、スイングが安定するはずです。

向井 七海(むかい・ななみ)

1999年生まれ、大阪府出身。父親の影響で8歳からゴルフを始め、岡山県で中学時代を過ごす。高校時代は大阪商業大高でゴルフの腕を磨き、卒業後にゴルフの強豪・東北福祉大へ。2018年は「全国ゴルフ対抗戦」、「信夫杯争奪日本女子大学ゴルフ対抗戦」、「全国女子大学ゴルフ対抗戦」で優勝し、4年生の時にはキャプテンを務めた。

【解説】石井 忍(いしい・しのぶ)

1974年生まれ、千葉県出身。日本大学ゴルフ部を経て1998年プロ転向。その後、コーチとして手腕を発揮し、多くの男女ツアープロを指導。「エースゴルフクラブ」を主宰し、アマチュアにもレッスンを行う。

ジャンルで探す