畑岡奈紗が12試合連続メジャー予選通過を達成! 25試合連続という大記録を持つレジェンドは誰?

今季女子メジャー第1戦「シェブロン選手権」は日本選手10人中9人が予選通過。その中には日本のエース格である畑岡奈紗(はたおか・なさ)が含まれ、メジャー12試合連続予選通過という日本歴代2位タイの大記録を樹立した。

過去最高は岡本綾子の「25試合連続」

 今季女子メジャー第1戦「シェブロン選手権」は出場した日本選手10人中9人が予選通過を果たした。その中には日本のエース格である畑岡奈紗の名もあった。畑岡はこれでメジャー12試合連続予選通過。日本選手ではあのレジェンドしか経験していない領域に突入した。

 昨年終了時で畑岡は樋口久子不動裕理野村敏京と同じ日本選手歴代3位のメジャー11試合連続予選通過をマークしていた。そして迎えた「シェブロン選手権」では初日、2日目とも71で回り、通算2アンダーの21位タイで決勝ラウンド進出。岡本綾子が1989年から1992年にかけてつくった日本選手歴代2位のメジャー12試合連続予選通過に並んだ。

12試合連続メジャーでの予選通過を果たした畑岡奈紗。あとは「メジャー制覇」を果たすだけ!? 写真:Getty Images

12試合連続メジャーでの予選通過を果たした畑岡奈紗。あとは「メジャー制覇」を果たすだけ!? 写真:Getty Images

 では歴代1位は誰か。これもまた岡本である。メジャー初出場だった1982年の「全米女子オープン」から予選を通り続け、1989年の「ナビスコ・ダイナ・ショア」(現シェブロン選手権)で途切れるまで実に25試合連続予選通過(最終日に棄権した試合を含む)というすごい記録をつくっているのだ。

 メジャータイトルには恵まれなかったが、いかに岡本が長きにわたって素晴らしいプレーをしていたかが改めて分かるデータである。畑岡は、この岡本しか足を踏み入れたことのないところまでやってきたのである。

 メジャーで予選通過を続けることはトップクラスの選手であっても簡単なことではない。「シェブロン選手権」を制してツアータイ記録の出場5試合連続を果たしたネリー・コルダ(米国)ですら昨年の「全米女子プロ」で予選落ちを喫している。

 昨年、メジャー2勝を挙げて世界ランキング1位にも立ったリリア・ヴ(米国)は昨年メジャー5試合中2試合が予選落ちだった。ビッグネームでも少し歯車が狂えば決勝ラウンドに残れない。それがメジャーの難しさなのだ。

 今回の「シェブロン選手権」では現在進行形では最長となるメジャー20試合連続予選通過を誇っていたミンジ・リー(オーストラリア)が予選落ちを喫したことで畑岡の12試合連続はチェ・ヘジン(韓国)と並んで“最長記録”に浮上。日本選手のみならず世界の中でも屈指の安定感であることを実証した形である。

 畑岡が12試合連続予選通過をスタートしたのは2021年の「AIG全英女子オープン」だった。この12試合中トップ10に入ったことが4回。20位以内だと今回の13位タイを含めて全体の3分の2にあたる8回を数えている。

 本人はメジャー制覇という目標になかなか手が届かない悔しさはあるだろうが、この実績は大いに評価されるべきだ。

歴代最高の日本選手予選通過率だったシェブロン選手権

 最後に、今回の「シェブロン選手権」における日本選手全体の予選通過率について触れておきたい。

 今大会はかつて3月下旬に開催されており出場選手が100人に満たないこともあった。予選通過は他の大会と同じ70位タイまで(現在は65位タイまで)だったから予選を通過する確率は高く、1997年には5人出場した日本選手全員が決勝ラウンドに進んだという例もある。

 日本選手が6人以上出場したメジャーでは全員予選通過はなく、2010、11年の今大会の7人中6人、85.7%が最高予選通過率だった。

 今大会は昨年から開催時期が2週間遅くなり、日照時間が長くなったことなどから出場枠が132人に拡大した。予選通過が以前より難しくなった状況で出場10人中9人が決勝ラウンドに進出。日本選手6人以上が出場したメジャーでは歴代最高の予選通過率となる90%を叩き出したのだからこれもまた大いに評価していいだろう。

 次のメジャーは5月30日開幕の「全米女子オープン」。会場のランカスターCCでは2015年以来の開催で、当時は大山志保が5位タイに食い込んでいる。

 畑岡にとっては昨年、単独首位から逆転負けを喫したリベンジがかかる舞台。連続予選通過記録の継続はもちろんのこと、念願のメジャー制覇を叶えてほしいものだ。

畑岡 奈紗(はたおか・なさ)

1999年年1月13日生まれ、茨城県出身。2016年の日本女子オープンで国内メジャー史上初のアマチュア優勝達成。その後、プロに転向して翌17年から米ツアーに参戦。同ツアーでは18年に初勝利を挙げ、22年DIOインプラントLAオープンで米ツアー通算6勝目。日本ツアーでも、17年に日本女子オープン連覇、19年に日本女子プロゴルフ選手権、日本女子オープンの国内メジャー2勝を達成するなどツアー通算5勝を挙げている。アビームコンサルティング所属。

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