試合中に揉めることもある!? プロゴルファーとキャディーの関係は対等? それとも絶対服従なの?

トーナメント中継では仲良く見える選手とキャディー。でも、選手はキャディーの雇い主であるのも事実。となれば、キャディーは選手に逆らえないのでしょうか。

パッティングのラインはあまり聞かない

 かつての国内ゴルフツアーでは、選手が帯同するキャディーは自分の弟子や後輩が多かったこともあり、選手に対してキャディーは絶対服従でした。

 せいぜい聞かれたことに答えるぐらいで、自分から話し掛けることはまずありません。もちろん、最近のゴルフツアーではそんな不適切な関係の選手とキャディーを見つけるのは難しいでしょう。絶対服従を求める選手がいませんし、そのような選手のバッグを担ぎたいと思うプロキャディーもいないからです。

昔は主従関係だったプロとキャディーの関係だが、最近ではほとんど対等な関係性だという 写真:AC

昔は主従関係だったプロとキャディーの関係だが、最近ではほとんど対等な関係性だという 写真:AC

 プロキャディーにとって選手は雇い主であるものの、そこまでの主従関係がない現在、プロキャディーのアドバイスを選手はどこまで受け入れるのでしょうか。

「受け入れ方は選手によって異なります。ただ、アドバイスを全く受け入れない選手はプロキャディーを使うことはないでしょう」と話すのは、ベテランプロキャディーの梅原敦氏です。

 確かにバッグを運ぶだけなら、学生アルバイトでも十分かもしれません。それでも、アドバイスを求めることはありませんが、話し相手や自分の間を大切にしたい選手はプロキャディーにお願いするようです。

 ちなみに、選手から最も多く聞かれるのは風向きだといいます。「練習ラウンドではそれほど聞かれなかったのに、本戦に入った途端、念入りに風向きを聞いてくる選手は結構いますね」(梅原氏)

 実際、パー3ホールではティーイングエリアに上がった途端、キャディーが選手に風向きとピンまでの距離を伝える光景をよく見かけます。

 また、トーナメントではプロと一緒にパッティングのラインを読むキャディーの姿を目にしますが、どのようなラインか聞いてくる選手は意外にも少ないそうです。

 自分で読もうとする選手がほとんどで、たまに分かりにくそうなラインのときに確認の意味で聞いてくるパターンがあるとのこと。ただ、全ホールでラインを確認してくる選手がいるのも事実なようです。

揉めるのは「言葉のやりとり」が原因

 テレビ中継ではあまり見ることはありませんが、選手とキャディーがもめることってあるのでしょうか。

「しょっちゅうですよ。といっても風の読み間違いとか、ミスに関してもめることは少ないですね。ほとんどが言葉のやりとりです」(梅原氏)

 ゴルフの場合、ボールを打つ時間は打つ前のルーティンを含めてもそれほど長くありません。にもかかわらず、プレー時間は5時間ぐらいかかるわけですから、選手とキャディーが会話する時間も長くなります。その際に、ちょっとした言い方が原因でもめることは珍しくないのでしょう。

「キャディーに対する選手の言い方が原因になるときもあるし、逆に選手に対するキャディーの言い方が原因になるときもあります」(梅原氏)

 聞けば、どのコンビにもよくあることで、互いにイライラしていることは相手にも伝わるようです。もちろん、たとえ揉めてもそこは大人ですから翌日まで尾を引くことはありませんが、ヒートアップしたときはそのままコンビを解散することもあるそうです。

 そう考えると、何年も同じコンビを組んでいる選手とキャディーは、よほど信頼関係が強いのだと考えられます。

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