竹田麗央はなぜ、今季大躍進を果たしたのか? 永久シードプロがその秘密に迫る

 今季ここまで、ツアー3勝、トップ10フィニッシュ10回(6月17日時点。以下同)。メルセデス・ランキングの首位を快走している竹田麗央。初の海外メジャー挑戦となった全米女子オープンでも9位タイという好成績を残した。

 自慢の飛距離を武器にして昨季も注目されていた若手選手のひとりだが、昨季のメルセデス・ランキングは22位。ツアー未勝利だった。そんな彼女が今季、なぜこれほどの大躍進を遂げることができたのか。永久シード保持者の森口祐子プロに話を聞いた――。


ラウンド中の表情が明るくなった竹田麗央 photo by Getty Images

 今季好調の竹田麗央さんですが、昨シーズンと変わった点はまず、よく笑うようになった、明るくなった、と思います。これは、シーズンオフに小祝さくらさんと一緒に練習したことが大きいのではないでしょうか。

 このオフの課題にアプローチを挙げていた竹田さんは、小技が得意な小祝さんと練習をともにこなして、本人曰く「アプローチは死ぬほど練習した」そうです。若い選手にとって、こうして時の実力者とラウンドを含めて長い時間をともに過ごすことは、技術だけでなく、プレーに向かう姿勢や気持ち、日頃の振る舞いなどを間近で見たり、接したりすることができる絶好の機会です。

「癒し系」と言われる小祝さんは、一喜一憂せず、いつもにこやかで飄々としています。そのプレースタイルは、彼女の安定したゴルフの"礎"そのものです。

 昨シーズンは、難しい顔を浮かべてプレーしている印象が強かった竹田さんですが、今季はプレー中の表情が本当に明るくなりました。もちろんそれは、ツアーフル参戦2年目という安心感によるところもあるのでしょうが、小祝さんから受けた影響も少なからずあったと思います。

 事実、最近選手間では「麗央ちゃん、小祝さくらさんに似てきてない?」と密かに囁かれています。もともと竹田さんは、おっとりと飄々としていて、小祝さんに似ているところがありました。そうして、実際に長く行動をともにすることによって、小祝さんのように笑顔で明るくラウンドすることも、自然と多くなったのではないでしょうか。

 そしてそれが、生来の飛距離と相まって、ゴルフの好内容にもつながってきたんじゃないかな、と私は思っています。

 竹田さんがオフに「死ぬほど練習した」というアプローチですが、その成果は数字にも表われています。JLPGAが発表しているリカバリー率において、2022年の彼女は規定試合数に達していないので推定になりますが、おそらく88位相当。2023年は55位でしたが、今季は現在15位まで上昇しています。

 体格にも恵まれている竹田さんは、「(自分は)飛距離は誰にも負けたくない」という思いを持っているようです。その意識の強さは、クラブからも見て取れます。ドライバーのシャフトはフレックス(硬度)Xと男子並みにハードなものを使用しています。女子ではなかなか使いこなせないスペックのドライバーで、クラブ担当者が「女子のなかでも一番ハードです」と言っていました。

 彼女のスイングの特徴は、トップからの切り返しで体重を右から左にしっかり乗せながらダウンスイングでタメを作り、フォローでは左の肩甲骨を引き寄せながらクラブを大きく振り抜いていく、大きなスイングにあります。ドライバーをハードスペックにしたことで、この体を大きく使うスイングに軸の安定が加わり、飛距離がより伸びて、フェースコントロールもしやすくなったということです。

 現在のドライビングディスタンスは、わずかな差で穴井詩さんに次ぐ2位ですが、彼女のスイングを見ていると、7~8割くらい余力を残して振っている感じを受けるので、本気で振ったら300ヤードくらい飛ぶんじゃないか、といった期待感さえあります。

 技術的にはこういった、強みであった飛距離がさらに伸びたことと、課題だったアプローチショットの確率が上がったこと。それが、今季躍進のポイントかなと思います。

 今後の課題は、サンドセーブ率(70位)の向上でしょうか。海外でも通用する実力はすでに持っている感じがしますが、バンカーショットの確率をもう少し上げられると、海外での可能性は一段と増すと思います。

竹田麗央(たけだ・りお/21歳)
2003年4月2日生まれ。熊本県出身。ツアー通算3勝。2024シーズン、メルセデス・ランキング1位。ドライビングディスタンス2位(平均飛距離262.83)。身長166㎝。血液型O。

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