《収益化も成功》“カワイイSNS”で大人気『ビオーレ名古屋』が懸念するアスリート盗撮問題とファンのモラル「“ど素人”と言われて……」「みなさんのマナーにかかっています」

最近になってSNSの収益化にも成功したという「ビオーレ名古屋(Viore Nagoya)」

 2022年4月、“保育士を中心とする女子バレーボールチーム”をうたい結成されたアマチュアクラブ「ビオーレ名古屋(Viore Nagoya)」。同チームは名古屋市内で8つの保育施設を運営する「学校法人正雲寺学園・社会福祉法人栄寿福祉会グループ」を母体としている。現在インスタグラムのフォロワーはSVリーグ「NECレッドロケッツ川崎」の4.1万人に次ぐ4万人。女子バレーチームでは“日本一”のインスタフォロワー数も間近となっている。しかし、有名になったことによる心配事もある。オーナー兼監督の寿台順章氏に話を聞いた。【前後編の後編。前編から読む】

【写真】SNSで大バズりした”新ユニフォーム紹介動画”。2人の選手がその場で回りながら飛び跳ねている

ネットの誹謗中傷と懸念される“盗撮問題”

 動画がバズった『ビオーレ名古屋』では、公式インスタグラムとYouTubeチャンネルで収益化が始まったという。チームを率いる寿台氏は「SNSで名前を知ってもらえる機会が増えて、全国各地の方から応援の声が届くようになりました。スポンサーも少しずつ増えてきています」と嬉しそうに語る。一方で、SNS上のコメント欄には「こんなチームは勝てない」「ビジュアル押しだろ」といった心ない声も散見される。社会人として働きながらバレーに打ち込み、純粋にその姿を世の中へ広めたいと思っている彼女たちの揚げ足をとるような発言に対してはどう考えているのか。

「発足した年度から『保育士やりながらバレーボールなんて強くなるわけないだろう』とか、『SVリーグに上がれるわけない』とか周りに言われましたね。あと私がバレーボール未経験なので、『ど素人がバレーを教えられるわけないだろ』という声も多かった。

 何か新しいことを興すということは常にそういったコメントや批判もあるものだと承知して活動しています。全部を真に受けて一喜一憂していたら、何もできなくなってしまいますからね。私たちのチームには応援してくれる人のほうが多いので、そこをモチベーションにしてみんなで頑張っていくだけです」(寿台氏、以下同)

 さらにこうした指摘があることに加え、選手のSNS露出が増えたことによる“懸念”もあるという寿台氏。それが、公益財団法⼈⽇本オリンピック委員会 (JOC)が中心となって被害撲滅のための声明を出しているアスリートの“盗撮問題”だ。

「今のところはファンの皆さんに温かく見守っていただけているのでいいんですけど、そういった性的な目線の方が増えてきますと……少し危惧するところはあります。今SVリーグだと写真撮影に許可がいるとかそもそもNGの場面も増えてきているんですよ。

 うちはただのクラブチームですけど、あまりにも度が過ぎる場合はルールを作らざるを得なくなる可能性はあります。

 だからといって1枚ずつ何を撮ったかなんてお客さんに対して確認できませんので、これに関しては皆さんのモラルやマナーにかかっていると思いますね」

 ファンとの向き合い方にこう私見を述べた寿台氏。慣れないチーム運営で苦労することもあるが、直近ではSVリーグに移籍する選手も輩出した。発足時からセッターとして活躍していた藤倉由貴選手は実際に栄養士として同グループで働きながら、昨年7月にトライアウトを経てSVリーグ『PFUブルーキャッツ』に移籍している。

 チームの名前が売れることで増えた心配事。それらを打ち消すような信念を「ビオーレ名古屋」はもっている。“型破り”のチームは、これからもさまざまな壁を乗り越えながら成長していく──。

(了。前編から読む)

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