「いつでも落ち着いていることが大事」ノリス、亡き父の教え「忍耐力」で外国人2人目メジャー3冠
◆報知新聞社主催 男子プロゴルフツアー メジャー最終戦 日本シリーズJTカップ 最終日(1日、東京よみうりCC=7002ヤード、パー70)
首位と1打差の2位で出た南アフリカのショーン・ノリス(42)=JOYXゴルフ倶楽部=が、4バーディー、1ダブルボギーの68をマーク。通算12アンダーで、21年の日本オープン以来となるツアー通算7勝目を挙げた。17年のツアー選手権森ビル杯、21年の日本オープンに続くメジャー3冠を達成し、外国籍選手としてはデビッド・イシイ(米国)以来、36年ぶり2人目となった。2打差2位は片岡尚之(26)=CS technologies=。前日首位の中島啓太(24)=フリー=は73とスコアを落とし、8アンダーの4位だった。
帽子を取り、ノリスは大歓声に手をたたいて応えた。最終18番はダブルボギーをたたいても2打差をつけて、3年ぶりとなる7勝目。「特別な週で、3日は父親の誕生日。彼が見守っていて、誇らしく思っていると思う」。19年に亡くした最愛の父・パトリックさんを思い、涙が伝った。
トレードマークの長尺パターで、次々とカップに沈めた。3日目は9バーディーと量産し、この日も前半3番で約4メートルのバーディーパットを沈めて首位に立った。キャディーを務める弟・カイルさん(38)とは「(18番は)この世で一番難しいグリーン。弟とも18番に入る時に(2位と)3、4打差つけられたらいいね、と話していた」と明かす。想定通りの試合運びで、海外選手としてはデビッド・イシイ(米国)以来、36年ぶり2人目のメジャー3冠を果たした。
大舞台に強い理由は忍耐力。昔、プレー中に父がわざと声をかけ、気を散らすと「いつでも落ち着いていることが大事だ」と教わってきたという。20歳近く離れる片岡、中島らに対し、終始安定したプレーを見せた42歳は「我慢強くなれるように育ててくれてありがとう」と父に感謝した。
自らも2児の父で、7月の長嶋茂雄招待・セガサミーカップ後には、母国の南アフリカへ戻った。通学に付きそうなど、できる限りの時間を共にし「ハッピーで温かい環境に居られて、いい影響があった」と明かす。再来日以降はトップ10入りが4度。最終戦でも好調を維持した。「日本ツアーを戦って、賞金王を目指したい」とノリス。家族の存在を力に、これからも日本の舞台で輝き続ける。(瀬川 楓花)
◆日本タイトル3冠達成 18年に達成した小平智以来、6年ぶり史上13人目。海外選手ではデビッド・イシイ以来、36年ぶり2人目の快挙となった。42歳201日での達成は、3番目に遅い記録。最年少達成者は、尾崎将司の27歳248日。
◆ショーン・ノリス
▼生まれ、サイズ 1982年5月14日、南アフリカ・プレトリア生まれ。42歳。188センチ、100キロ。
▼ゴルフ歴 7歳から始め、2002年にプロ転向。15年にアジアンツアー参戦。16年2月の日亜共催・レオパレス21ミャンマーオープンで優勝し、日本を主戦場にした。22年は母国のサンシャインツアーで3勝を挙げ、11年ぶりの賞金王となった。
▼日本シリーズ 5年ぶり4度目の出場。初出場の17年は単独3位で最終日最終組を迎えたが2位だった。
▼ラガーマン 中学生までゴルフと並行してラグビーも。ポジションはフランカーとFBでキックが得意だったという。
▼食事 日本の好きな食べ物は「焼き肉食べ放題」。今週だけで4回食べた。
▼得意クラブ 長尺パター。長いパットに苦戦したところ、長尺パターを使っていた母にすすめられて11年から使用する。
12/02 05:25
スポーツ報知