大の里は体に充満している毒を抜かないと苦しい、自ら負けパターンで墓穴…元大関・琴風の目

大の里は負け残りの控えで悔しげな表情を見せた(カメラ・今西 淳)

◆大相撲九州場所 11日目(20日・福岡国際センター)

 東前頭6枚目・隆の勝が新大関・大の里を撃破し、1敗と首位の座を堅持した。7月の名古屋場所では優勝決定戦まで進出したが、惜しくもV逸。一年納めの土俵で悲願の初賜杯をつかむべく、さらに勢いを増していく。大の里は初の連敗で4敗目を喫し、優勝争いから大きく後退した。

 * * * *

 隆の勝の立ち合いの左への変化は私にとっては予想外。大の里も頭にはなかったかもしれない。大の里の右差しを嫌った奇襲が成功したのは、その後の攻めが素晴らしかったから。右のど輪で攻めて、左はおっつけながら前に出た。引き技に逃げる大の里の悪癖を引き出しての完勝だった。

 このコラムでも書いたが、押し相撲は波に乗ると無双状態に突入する。左への変化、右のど輪、悪い癖を引き出した馬力。すべてのベクトルが白星に向かっていった。12日目は霧島との一番が組まれたが、13日目以降は琴桜と豊昇龍との対戦も予想される。隆の勝には今年の名古屋場所で優勝決定戦に進出した経験と自信がある。対等な勝負になると信じている。

 大の里は体に充満している“毒”を早く抜かないと苦しい。負けるパターンはすべて引き技で墓穴を掘っている。毒抜きが急務だ。(元大関・琴風、スポーツ報知評論家)

ジャンルで探す