小学校時代から相撲雑誌を愛読…看板力士の自覚みなぎる大の里、新大関Vへ”第一関門”突破「集中して頑張ります」
◆大相撲 ▽九州場所初日(10日・福岡国際センター)
先場所覇者の新大関・大の里(24)=二所ノ関=が白星スタートを決めた。西前頭筆頭・平戸海(24)=境川=を相手に土俵際まで追い込まれたが、逆転の突き落とし。ヒヤヒヤながらも「大関1勝」を手にした。琴桜(26)=佐渡ケ嶽=、豊昇龍(25)=立浪=の残る2大関も白星発進。横綱・照ノ富士(32)=伊勢ケ浜=が初日から休場した中で、大関陣は全員安泰だった。
大いちょうの結えない新大関に、ため息と歓声が飛んだ。大の里は体が硬くなったのか、出足は鈍く平戸海にもろ差しを許す。過去2勝2敗の同学年の鋭い攻めで土俵際まで追い込まれたが、左に逃れて突き落とし。新大関での初白星に「ヒヤヒヤした。もう一度、集中して頑張ります」と反省。それでも、土俵下で見守った師匠の二所ノ関親方(元横綱・稀勢の里)は「こういう相撲を取るのも(大事)」とうなずいた。
初日は新関脇だった名古屋場所は元大関・御嶽海に敗れた。秋場所も幕内・熱海富士に辛勝だっただけに「今場所もこういう相撲を取ってしまった。初日の入りは課題」と顔をしかめた。だが、昭和以降で新大関優勝した6人で初日に負けた力士はおらず“第一関門”は突破。二所ノ関親方は「準備は平戸海が上だった。一つひとつが経験」と奮起を促した。
先場所後に初土俵から所要9場所で、昭和以降では最速となる大関昇進を果たした。秋巡業では10月4日に相撲を取る稽古を再開。本場所の1か月以上前から4日連続で10番近い相撲を取り、ペースを上げて調整。「1年前には想像しなかった(出世の)早さ。慣れないといけない」。力士の“模範”になれるように行動に移した。発熱で巡業を離脱する前も「しっかりファンの前に立ってやろう」と会場に姿を現した。小学時代から相撲雑誌を愛読し、大関の偉大さは熟知。看板力士としての自覚だった。
八角理事長(元横綱・北勝海)は「ぎこちなかった。緊張感もあったのだろう。内容はダメだけど、勝ったのが大きい」と一定の評価を与えた。大の里は目を閉じて「15日間集中する」と何度も「集中」の2文字を繰り返した。秋場所は初日の反省から引き締め直して11連勝。2度目の優勝につなげた。ピンチを乗り越えた“ちょんまげ大関”が、一年納めの九州でも主役を演じる。(山田 豊)
11/11 05:30
スポーツ報知