42歳上野由岐子「出しすぎない」117キロ計測も「配分」意識し109球7K完投勝利…ソフトボールJDリーグ

ベンチで炭谷遙香捕手と話し合う上野由岐子投手(右、カメラ・宮下 京香)

◆ソフトボール ▽ニトリJDリーグ プレーオフセカンドステージ 戸田中央メディックス埼玉 1―3 ビックカメラ高崎(10日、神奈川・等々力球場)

 プレーオフ・セカンドステージが行われ、東地区2位のビックカメラ高崎が同3位の戸田中央を3―1で下し、4チームが進むダイヤモンドシリーズに進出を決めた。

 今季レギュラーシーズン3試合に先発した42歳レジェンド・上野由岐子が先発マウンドを託され、7回109球を投げ、7奪三振、1失点で完投勝利を収めた。試合後、充実の表情で取材に応じた上野は「みんなが3点を取ってくれたので、気持ちも楽に投げられたかなと思います。(6回の)失点した場面はちょっと勝負を急ぎ過ぎちゃったというのが反省ですね。あとはちゃんと自分自身をコントロールして投げられたかなと思います」とうなずいた。

 人工芝にマットを引いたマウンドは反発があり「力が出やすい」。初回から球場表示でこの日最速の117キロを計測したが、上野の中では「スピードを出しすぎない」と意識していた。ポストシーズンでは3年ぶりの先発マウンド。3回に2死一、二塁から日本代表で4番・坂本結愛を三ゴロに切り、この日初めて右拳を握った。3―0の6回には5番・糟谷舞乃に二遊間に適時打を許したが、2死を取り、代打・今田まなには膝元に落とす変化球で空振り三振。実業団24年目の経験を示し「負けられない思いが重かった」と先発の責任を果たして安どした。

 今季は主にリリーフで起用されたが、浜村ゆかりが負傷離脱したチーム状況もあり、10月の日立戦(1―1)で21年東京五輪決勝以来、約3年3か月ぶりの先発を任された。戸田中央戦で完封勝利も挙げるなど3試合で完投し、1失点。中継ぎの時とは登板時の力の出し方も変わってくるといい、意図を持って「ペース配分」を意識する。「スピードを出し過ぎると自分(の体が)が壊れちゃう。7回投げられる配分をしながら投げることを一番気をつけている」。また、主に1打席勝負の中継ぎとは違い、先発は3~4巡する。最初の打席から2打席目以降も想定しながら、力の出しどころを意識していた。

 2季ぶりの王座奪還へ、ダイヤモンドシリーズ準決勝では東地区1位の日立に挑む。レギュラーシーズンでは1勝1敗1分け。「相手も1位通過のプライドがあると思うし、うちも負けられないプライドがある。お互いどれだけいい準備ができたかが、勝敗につながる」とライバルへ闘志を燃やした。「最近、ピッチャーゴロをちゃんと取れないのを課題にしている。反応鈍くなったなって」と苦笑いしつつ、初回先頭から軽快にさばいた42歳のベテランが、勝負の舞台に向かう。

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