2006年夏場所の白鵬に並べるか 新大関・大の里が挑む18年ぶりの記録

「唯一無二」と刺しゅうされた化粧まわしと写真に納まる大の里(カメラ・山田 豊)

 日本相撲協会は8日、大相撲九州場所(10日初日、福岡国際センター)の取組編成会議を開き、2日目までの取組を決めた。秋場所優勝の新大関・大の里(24)=二所ノ関=は、初日に幕内・平戸海(24)=境川=、2日目に同・王鵬(24)=大嶽=と対戦する。同い年で三役経験者の平戸海とは過去2勝2敗。初日に難敵を突破し、2006年夏場所の白鵬(現・宮城野親方)以来、18年ぶりの新大関Vに弾みをつける。

 本場所で使う青色の締め込み姿で現れた新大関は、落ち着いていた。大の里は福岡市内にある部屋で入念に立ち合いなどを確認。朝稽古後、初日に過去2勝2敗の平戸海との対戦を知った。同い年の三役経験者に対して「相手よりも、自分のやるべきことをしっかりやりたい」と真っすぐ前を見つめた。

 急ピッチで仕上げ、臨戦態勢を整えた。秋場所で自身2度目の優勝を飾った後、10月の秋巡業ではアデノウイルス感染症による体調不良で離脱。調整遅れを不安視する声もあったが、福岡入りして本格的な稽古を再開。4日の二所ノ関一門の連合稽古で大関・琴桜(26)=佐渡ケ嶽=と計20番の相撲で11勝して自信を取り戻した。5日には、師匠の二所ノ関親方(元横綱・稀勢の里)と12番連続で取るなどペースを一気に上げた。「体調の不安はあったが、身になる稽古を積んできた」と気合を入れ直した。

 追い風も吹いた。この日、福岡での宿舎を提供している住宅メーカー「アイ工務店」から新しい化粧まわしを贈られた。重厚な紺地に大関昇進伝達式で述べた口上の「唯一無二」が鮮やかな銀の糸で刺しゅうされている。初めて目にし、「想像していなかった。自分の決意を刻んでもらえてうれしい」と満足そうだった。

 一年納めの九州場所では、06年夏場所の白鵬以来、18年ぶりの新大関優勝が懸かっている。平戸海は長崎出身で多くの声援が送られることが予想されるが、冷静に初日の土俵に立つ。令和以降7人の新大関のうち、2ケタ勝利は3人と苦戦傾向でも「考えすぎず、目の前の一番に集中して、いつも通りやるだけ。大関として臨む初めての場所であり、1年の最後でもある。いい形で締めくくりたい」。3度目の賜杯を手にすれば、来年初場所が綱取りとなる。黙々と白星を積み重ねる。(山田 豊)

 〇…高田川審判部長が8日の取組編成会議後、新大関・大の里について「どういう相撲を取ってくれるか楽しみだ。大関だから、もちろん優勝を狙って出てくるだろう」と期待感を示した。一人横綱の照ノ富士が休場し、琴桜と豊昇龍を加えた3大関が優勝争いの中心だ。九州場所では28年ぶりのチケット完売。同部長は「3大関に三役、幕内上位の力士がどのように絡んでいくかが見どころ。ファンの期待に沿う相撲を取ってほしい」と熱戦を望んだ。

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