23年最優秀障害馬マイネルグロンが平地で復帰 天才ジャンパーのオジュウチョウサンと類似点多数
けがが癒えた2023年の最優秀障害馬がターフに帰ってくる。マイネルグロン(牡6歳、美浦・青木孝文厩舎、父ゴールドシップ)が、11月3日の福島7R・3歳上1勝クラス(芝2600メートル)に主戦の石神深一騎手とのコンビで出走。12月21日に行われる中山大障害へのステップとして、約3年ぶりとなる平地競走で始動する。
9か月以上の休養を要する見込み―24年4月13日の中山GJで6着に敗れた後に右前深屈腱炎を発症した。当初は連覇が懸かる中山大障害の参戦にも黄色信号がともったが、7か月足らずの休養での復帰となる。早い回復に脚の具合や状態面が心配されるが、青木調教師は「心臓もいい時に限りなく近い状態と獣医師に言ってもらったし、次があるので逆に仕上がりすぎないように気をつけたくらい。気も入ってきたし、そのうえで落ち着きもあって、大障害へのステップとしては望ましい状態。牧場でも早い段階で騎乗を再開できていたし、脚元も安定していて不安はない。追い切りも毎週しっかりできているし、これほどの馬なので、不安があれば使わないですよ」と笑顔で周囲の不安を一蹴した。
石神深一騎手も復帰戦の出来としては十分な手応えをつかんでおり、「昨年の大障害が100の出来だとしたら、(重賞を初めて勝った)東京ハイジャンプは70。今は80くらいにはある。今のグロンなら1勝クラスで走っちゃうかも」と平地戦初勝利も視野に入っている。復帰戦に関しては調教師、騎手、クラブによる相談のうえでこの舞台を選択。「馬体の引き締めと長い距離での折り合い、道中で息を入れるのを意識して乗りたい。うまく大障害につながるように乗れれば」と鞍上は大目標へ向けてテーマを持って臨む構えだ。
JRA最優秀障害馬を5回獲得するなどJ・G1を9勝したオジュウチョウサンの主戦も務めた石神深騎手が「障害界のスターになれると思う」と能力を絶賛するマイネルグロン。「回復力だったり、骨が太いところもオジュウに似ている」と、かつての盟友とは圧倒的なパフォーマンスだけでなく、他の部分でも共通する部分があるという。
2頭には成績面でも類似点が多い。平地競走で勝利を挙げることができず、3歳で障害へ転向すると、初戦は黒星からのスタート。そこから実戦経験を積んで5歳でJ・G1を初制覇した。オジュウチョウサンもマイネルグロンと同じく6歳の中山グランドジャンプ後にけが(剥離骨折)で休養。診断よりも早い回復を見せ、東京ハイジャンプで復帰を果たし、暮れの中山大障害で連覇を達成した。オジュウチョウサンは最後のタイトル獲得が11歳の中山グランドジャンプ。マイネルグロンにも今後の障害界を引っ張る存在として息の長い活躍が期待される。
鞍上は、この秋から気性面に課題があったアーバンシックの調教に騎乗。追い切りに行くまでに嫌な思いをさせないアプローチを取り入れるなど、メリハリをつけた調教が実り同馬はセントライト記念、菊花賞と連勝し、素質が開花した。オジュウチョウサンをはじめ、数々の障害馬と向き合ってきた経験を持つ石神深騎手。今度は暮れの大一番で、障害界のニューヒーローの完全復活というミッションが託された。
10/31 14:52
スポーツ報知