60代女性「トイレで用を足し、外へ出ようとすると…扉が開かない!」救世主となったのは、意外な<夏の風物詩>だった

自分と家の寿命、どっちが長いかしら、などと考えつつトイレに行ったとき…(写真:stock.adobe.com)
時事問題から身のまわりのこと、『婦人公論』本誌記事への感想など、愛読者からのお手紙を紹介する「読者のひろば」。たくさんの記事が掲載される婦人公論のなかでも、人気の高いコーナーの一つです。今回ご紹介するのは大阪府の60代の方からのお便り。夫が出かけ、自宅に一人になった時、ある事件が起こったそうで――。

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開かずの扉

よく晴れた土曜日の昼下がりのこと。近くをほっつき歩くのが日課の夫がその日も出かけ、家でひとりになった。

ふと部屋を見回すと、30年前に買った家も、不具合が生じているのに気づく。

自分と家の寿命、どっちが長いかしら、などと考えつつトイレに行ったとき、事件は起きた。

用を足し、手を洗い、外へ出ようとドアハンドルに手を掛けると……開かない。内開きなのだが、途中までしか動かないのだ。鍵穴が甘くなっていて、鍵がかからないことが問題だったドアなのに。

なにかの間違いじゃないかと、汗だくになりながら引っ張るが、びくともしない。

夫はあと5時間は戻らないだろう。

壁はそれほど厚くないので、大声で隣家に助けを求めれば声が届くとは思うが、それは最終手段にしたい。

落ち着いて室内を探すと…

とにかくいったん落ち着こうと、手洗い用の水を出し、ひと口分すくって、喉を潤す。

パニックが少しおさまった。室内になにか役立ちそうなものはないか探す。

すると、掃除用ブラシの横に立てかけていたうちわが目にとまった。

ドアと壁の間にうちわを差し込んでみると、なんとか入った! 上下に動かすこともできる。

うちわを動かしながらドアを引っ張ると、何事もなかったかのようにドアが開いた。

原因はわからないが、とりあえずひと安心だ。

ところが、外に出てドアを閉め、ちゃんと開くかどうか試しにドアを押してみると……開かない。

入れないのも困るので、再びうちわを差し込んで開け、その日はドアを開け放しにしてやり過ごすことにした。

いつかは私もひとりになるかもしれない。日頃、不満ばかりでストレスいっぱいの夫への感謝を忘れないようにしようと決意しつつ、ひとりでも不安なく暮らせる自分でありたいと思う。

家のメンテナンスや近所の方々との交流も大切にしていかなくては、と感じたできごとだった。


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