「自己啓発の祖」アドラーが教える、他人を理解できる最大のチャンスとは?「性格とは、目の前の人に合わせて、対人関係に合わせて変わりえるものだ」【2024年上半期BEST】

アドラーが教える、相手を受け入れるために必要なこととは――。(写真提供:写真AC)
2024年上半期(1月~6月)に『婦人公論.jp』で大きな反響を得た記事から、今あらためて読み直したい1本をお届けします。(初公開日:2024年4月14日)

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フロイトやユングと並ぶ心理学界の巨匠で、“自己啓発の父”とも呼ばれるアドラー。アドラーを長年にわたり追い続け、「アドラー」、「アドラー心理学」に関する著書を多く著してきた岩井俊憲さんが、数多ある本の中から選んだ、アドラーの本質を理解するための言葉をご紹介します。今回は、ライフスタイル(※日本語ではしばしば「性格」と訳されますが、アドラー自身は「ライフスタイル」と表現しています)について。アドラーが教える、相手を受け入れるために必要なこととは――。

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【書影】アドラーの言葉をわかりやすく「超訳」した名言集『超訳 アドラーの言葉』

ライフスタイルは、環境に適応するために作られたもの

「ライフスタイル(性格)」とは、その人のもって生まれたもの(体質や遺伝など)や環境に適応するために、作り上げられてきたものだと理解している。

だから、「ライフスタイル」とは、目の前の人に合わせて、対人関係に合わせて変わりえるものだ。したがってその人を取り囲む環境や状況などもすべて含めて、その人のことを見たときに初めて、ライフスタイルや特性といったものを語ることができる。

『人間知の心理学』より

人間の特性を理解するには

人間の特性を理解することは可能だ。そのためには、子ども時代に作り上げたライフスタイルを理解し、それが作られるにあたって何が影響を与えたのかを見極めること。

そして、そのライフスタイルが、社会に出て仕事や家庭生活などで問題が起きたときに、どのように発揮されるのかを見る必要がある。

『生きる意味を求めて』より

トラブルのときにライフスタイルが出る

「え、この人、こんな人なの!」という場面に出くわしたことがないだろうか?

その人のライフスタイルが露わになるのは、パニックに陥ったり、トラブルに出くわしたりしたときだ。そんな場面こそ、その人を理解できる最大のチャンスといえる。

『生きるために大切なこと』より

パニックに陥ったり、トラブルに出くわしたりしたときこそ、その人を理解できる最大のチャンス(写真提供:写真AC)

人は記憶を作り出す

私たちは、いろんなことを経験したとしても、ある特定の偏った考え方をもちがちだ。

自分独自の考え方・ものの見方を通して、その経験をとらえるからだろう。

そして、その考え方・ものの見方というのは、自分のライフスタイルに沿ったものになっている。もっといえばそのライスタイルを強化する方向に活用することもあるくらいだ。

人は記憶を作り出す。現象をライフスタイルに合わせて解釈する。合わないものは記憶から排除することもある。合ったものを受け取る。受け取れたものだけを記憶する。

写真のように記憶するわけではなく、なかったものをあった、あったものをなかったと言い出したりする。

『人間知の心理学』より

※本稿は、『超訳 アドラーの言葉』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)の一部を再編集したものです

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