優勝候補たちの牙城を日本の永原悠路は崩すことができるのか「パリ2024オリンピック」スケートボード・男子パーク種目の見どころ
先々週から開催されている「パリ2024オリンピック」。全行程では折り返しに差し掛かった平和とスポーツの祭典だが、先週のスケートボードストリート種目では男女共に日本人が金メダルを獲得する快挙を見せる中、現地時間で8月7日にスケートボード男子パーク種目が開催される。スケートボード競技としては最後の種目となり、東京2020オリンピックと同じく予選と決勝が同日で行われる形となる今回。本記事では注目選手や見どころを紹介。
スケートボード競技はオリンピックの正式種目に採用されてから2度目の開催となるが、前回の東京大会ではコロナ禍の影響もあり、無観客となるなど異例のオリンピックデビューとなった。しかし今回のパリ大会ではパリ市内の中心地であるコンコルド広場に特設会場を置き、満を持して有観客の中で開催される。
注目のパリオリンピック出場選手
最初に金メダル候補として取り上げたいのは東京オリンピック金メダリストであるオーストラリアのキーガン・パルマー(世界ランキング2位)だ。昨年はライディング中の転倒から起きた膝の怪我に悩まされた彼だったが、最終予選として開かれたオリンピック予選シリーズ(以下:OQS)では上海大会で2位、ブダペスト大会では優勝し完全復活を遂げて出場権を獲得し2度目のオリンピックに挑む。
そんな彼のライディングで注目になるのは完成度の高い「バックサイド540」のバリエーション。直前のブダペスト大会では「バックサイド540ステールフィッシュグラブ」や「アーリーウープバックサイド540インディグラブ」など自由自在にトリックを組み合わせて圧倒した。パリオリンピック本番ではこれらのトリックに加えて2連覇達成を果たすための新技を決めてくるのかにも注目だ。
そんなパルマーとの熱い金メダル争いの筆頭となる思われるがアメリカ人選手勢だ。まずは世界ランキング1位のテイト・カリュー。パルマーの親友でもありパークだけではなくバーチカルでも強さを見せる彼は常に決勝進出している実力者だったが、昨年の世界選手権で3位になると、OQSでは更にそのレベルを引き上げて上海大会で優勝、ブダペスト大会では3位になりオリンピックへの切符を手に入れた。なおこのさらなる成長の秘訣はオーストラリアでパルマーを始めとしたライダーたちと一緒に練習を積んだことと別の記事で明かされていた。
そんな彼のトリックは多種多様なバリエーションがあることが特徴だが、このパリオリンピックでも「バックサイド540ボディバリアル」、「ヒールハードフリップインディグラブ」、「ノーグラブバックサイド540」あたりはスコアアップに活かされるのではないだろうか。
そんなカリューとパルマーに続き今大会の金メダルを狙うのが同じくアメリカのギャビン・ボドガー(世界ランキング3位)だ。昨年の世界選手権で優勝し今年の初戦となった「WST Dubai」では2位となり強さを示している彼。OQSでは表彰台には上がれなかったものの上海大会では6位、ブダペスト大会では4位と着実に成績を上げて今回のオリンピックに臨む。
そんな彼が得意とするのは回転系トリックとフリップトリック。特に彼のオリジナルトリックである「アリウープアラウンドザワールド」は今大会でも肝になることは間違いない。そして「キャバレリアルキックフリップインディグラブ」や「ボディバリアルフリップバックサイドディザスター」などもスコアアップに活かされるのではないだろうか。筆者個人的には「アリウープアラウンドザワールド」を派生させた新技で会場を沸かせることを期待したい。
そして同じく優勝候補として、ここ数大会で急激に結果へ繋げ今大会を迎えるのはアメリカのトム・シャー(世界ランキング5位)。どちらかというとパークよりバーチカルを主戦場にする彼だが、OQSブダペスト大会で2位を獲得したことでストリート種目との二刀流を目指していたジャガー・イートンをトータルポイントで上回り出場権を獲得した。彼の特徴はバーチカルの技術を活かしたハイスピードかつハイエアーのライディング。その中に高難度トリックを組み込むことで他選手と差別化を図りそのレベルの高さが非常に評価されている。
そんな彼の注目なトリックは対空時間の長い横回転トリックとフリップトリックの数々。直前のブダペスト大会では「バックサイド540テールグラブ」そして「キックフリップインディグラブ to フェイキー」、そして「アーリーウープキックフリップインディグラブ」や「ノーグラブバックサイド360」が光った。今大会ではそのスタイルと高難度トリックが織り交ぜたライディングでメダル獲得なるか。
そしてそんなアメリカに対抗するのは同じくスケートボード大国のブラジル。女子カテゴリー同様にランキング上位に3名を送り出しているブラジル。まずは注目すべきは世界ランキング5位で今大会の出場を決めたアウグスト・アキオ。彼は2023年の「WST Sharjah」で2位入賞を果たすと、その後のオリンピック予選大会ではほぼ常に決勝進出を果たしその実力を発揮してきた。OQSでは表彰台には上がれていなかったが、今大会ではしっかり調整して上位に入ってくることが予想される。
そんなアキオに続いて上位にランクインして今大会を迎えるのが、「WST San Juan」で優勝しその後世界選手権でも2位を獲得したルイージ・チーニ(世界ランキング7位)と東京オリンピック銀メダリストのペドロ・バロス(世界ランキング8位)だ。二人ともOQSでは目ぼしい結果を残すことはできなかったが、大舞台での優勝経験も豊富で今大会でも優勝争いに食い込んでくる可能性は大いにあるだろう。
もう一人触れておきたいのはスペインのダニー・レオン(世界ランキング9位)だ。昨年はあまり目ぼしい結果を残せなかったが今年の「WST Dubai」では優勝を果たした。そんな彼はとにかくセクションの扱いがピカイチ。29歳と経験豊富な彼はどんなセクションでもそこに適したスタイル溢れた難しいトリックを決めてくる。今大会ではどんなスパイスをパリの舞台で加えてくれるのだろうか。
そして最後に触れたいのは、唯一日本人選手勢で出場し、今回オリンピックデビューとなる永原悠路(世界ランキング16位)。東京オリンピックの際には直前での右足大腿骨骨折により代表選考から離脱。3年越しに悲願の出場が決まった。彼は直近のOQSの2戦では自身の思うベストなライディングはできなかったものの、昨年の世界選手権では日本人初の決勝進出を果たすなど着実に力を付けている。そんな永原の特徴はトランスファーやコーピング周りの扱いだろう。あとは世界でも高く評価されるトリック「キックフリップ540」だ。是非悲願のオリンピックの舞台で攻めのライディングを見せて優勝候補勢の牙城に風穴を開けてメダルを手にして欲しい。
このパリオリンピックには優勝候補が多く実力も拮抗しているため誰が優勝しても全くおかしくない。そんな世界最高峰の極限の舞台で誰が金メダルを勝ち取ることができるのか?パリの地で生まれるオリンピックチャンピオン誕生の瞬間を見逃すな。
出場選手一覧
スケートボード ・男子パーク種目:全22名
1. テイト・カリュー(アメリカ合衆国)
2. キーガン・パルマー(オーストラリア)
3. ギャビン・ボドガー(アメリカ合衆国)
4. トム・シャー(アメリカ合衆国)
5. アウグスト・アキオ(ブラジル)
6. キーラン・ウーリー(オーストラリア)
7. ルイージ・チーニ(ブラジル)
8. ペドロ・バロス(ブラジル)
9. ダニー・レオン(スペイン)
10. ヴィクター・ソルムンド(デンマーク)
11. キーファ・ウィルソン(オーストラリア)
12. アレックス・ソルジェンテ(イタリア)
13. ハンプス・ウィンバーグ(スウェーデン)
14. ヴィンセント・マテロン(フランス)
15. スティーブン・ピネイロ(プエルトリコ)
16. 永原 悠路(日本)
17. アレサンドロ・マザッラ(イタリア)
18. トーマス・アウグスト(ポルトガル)
19. アライン・コルタビバルテ(フランス)
20. アンドリュー・マクドナルド(スペイン)
21. タイラー・エドマイヤー(中国)
22. ダラス・オーバーホルツァー(南アフリカ)
大会スケジュール:日本時間
-8月7日(水)
19:30~ スケートボード男子パーク 予選
24:30(8月8日00:30)~ スケートボード男子パーク 決勝
パリオリンピックでの日本人選手たちの活躍はテレビ放送やTVerで視聴して応援しよう!
パリ2024オリンピックのスケートボード男子パーク種目の戦いの模様は、NHKや各キー局での地上波およびBS放送に加えて、TVerでのオンライン配信が予定されている。随時放送情報は更新されているが現時点での国内放送スケジュールは以下の通りだ。
*「2024年7月23日時点、FINEPLAY編集部調べ」
8月6日 19:30~ スケートボード男子パーク 予選【TBS系列/NHK BS】
8月7日 00:30~ スケートボード男子パーク 決勝【TBS系列/NHK BS】
なお各競技の最新情報はオリンピックのウェブサイトや公式アプリで気軽にアクセスできるので是非ダウンロードしてみて欲しい。日本人選手たちの大活躍をテレビの前で一緒に応援しよう!
The post 優勝候補たちの牙城を日本の永原悠路は崩すことができるのか「パリ2024オリンピック」スケートボード・男子パーク種目の見どころ first appeared on FINEPLAY.
08/06 03:02
FINEPLAY