「被災地を元気に」 金沢高の斎藤大翔、西武がドラフト1位指名

西武1位指名の金沢・斎藤大翔選手の吉報を喜ぶ同校の野球部の保護者やチームメート=2024年10月24日、金沢市、土井良典撮影

 「1位で呼ばれるなんて思っていなかったのでうれしいのが一番。高校3年間、この高校で仲間と力をつけてきたのが一番の思い出」。高い身体能力を買われ、埼玉西武ライオンズからプロ野球のドラフト1位指名を受けた金沢高の斎藤大翔(ひろと)内野手(3年)は同校で会見し、喜びをそう語った。

 2019年に東京ヤクルトから1位指名された星稜高の奥川恭伸投手以来、5年ぶりの県内高校生のドラフト1位指名。能登半島地震と豪雨からの復旧復興をめざす県全体にとって明るい話題になった。斎藤選手は「自分のニュースを見てくれて、少しでも元気になってくれる方がいると思う。その人の分まで自分は一生懸命頑張っていきたい」。

 金沢市出身で4人きょうだいの次男。周囲の影響で自然と野球を始めた。181㌢、76㌔の右投げ右打ちの遊撃手。高校時代は全国大会には縁がなかったが、遠投120㍍の強肩や、2年夏には石川大会で1試合2本塁打を放つなどパワーもある。

 ずっと斎藤選手を見てきた武部佳太監督は、人間性を評価する。3年になって主将を務めたが、「主将っていうタイプじゃ全然なかった」と監督は言う。「私が就任して7年。金沢では歴代、私が指名する主将ばかりだったが、初めて自ら『主将をやらせてほしい』と言ってきたのが斎藤だった」と振り返る。

 1年生から試合に出ていた斎藤選手は、「新チームでは経験値が自分が1番だったので、引っ張っていこうと負けたときに強く思った」と言い、内面も成長させた。

 ドラフト指名後の会見で、大事にしている言葉について「今年の冬に武部先生から地味な練習をたくさん、思い切りできる選手が強いと聞いたので、それを忘れないでいきたい」と語った斎藤選手。「打撃面でも課題はあるので、もっと1月までに練習していきたい。プロは本当にすごいと思うので、最高の準備をして入りたい」と語り、「自分が小さい時にプロを夢見たように、子どもたちにあこがれを持ってもらえるような選手になりたい」と語った。(土井良典)

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