「ほぼ24時間一緒」双子が連続適時打 三田学園、20年ぶり近畿へ

笑顔を見せる三田学園の兄・三輪奈由太(左)と弟・歩由太(右)

 (5日、秋季高校野球兵庫大会3位決定戦 三田学園5―1神戸国際大付)

 2021年に春夏連続で甲子園に出場した神戸国際大付を破ったのは、34年ぶりの選抜大会出場をめざす古豪・三田学園だった。

 殊勲の活躍をみせたのは、一卵性双生児のきょうだいだ。

 一回2死一、二塁。5番打者の兄・三輪奈由太(なゆた)(2年)が中前安打を放って先制点を挙げると、なお一、三塁から6番の弟・歩由太(あゆた)(2年)も「奈由太に続く」と、右前へ運んで加点した。

 連続適時打をマークしたのは「小学校、中学校でも記憶にない」という。記念すべき連打に、2人は「チームに貢献できてうれしいです」と声をそろえた。

 ともに二つ上の兄の影響で、小学3年生から野球を始めた。それから中学、高校とずっと同じチームでプレーする。

 1人がボールを投げて、もう1人が打撃練習をしたり、「体が開いている」などとアドバイスを送り合ったり。2人で技術を高めてきた。

 奈由太は体重1300グラムと小さな体で生まれた。「大きく育ってほしい」という両親の願いから、数字の単位「那由他」から名前をとった。1400グラムだった歩由太の名前にも、「一歩ずつ成長してほしい」という思いが込められている。

 兄は171センチ、弟は170センチと、すくすく育った。

 部活動だけでなくクラスも同じで、帰宅後は同じ部屋で勉強するなど、「一心同体」だ。「ほぼ24時間、ずっと一緒にいますね」と笑う。

 それでも父・三四郎さん(50)は「小さいころから、けんかしたところは見たことがない」という。

 今夏は弟・歩由太がメンバー入りしたが、兄・奈由太はベンチ外だった。秋の新チームから、初めてそろって背番号をもらった。兄は一塁手、弟は左翼手。「一緒に出られて楽しいです」と、また笑顔が並んだ。

 三田学園は、プロ野球ロッテ元監督の山本巧児さんや元巨人の強打者、淡口憲治さんらが輩出。21年夏の兵庫大会では初戦敗退するなど、近年は目立った活躍ができていなかった。

 この秋は全試合で完投したエース熊野慎(2年)を中心に守り勝ち、3位に滑り込んだ。20年ぶりの近畿大会だ。この結果が、来春の選抜大会の重要な参考資料になる。奈由太は「近畿大会でも勝ち進んで、絶対に甲子園に行く」と誓った。(室田賢)

ジャンルで探す