プロ輩出の古豪・三田学園の意地 甲子園を取り戻す戦いは終わらない

三田学園―神戸学院大付 五回表三田学園、音松⑤が本塁生還して同点に追いつき、ベンチに迎えられる=2024年9月28日午前、明石トーカロ、岡田健撮影

 (秋季兵庫県高校野球大会準決勝 神戸学院大付3―2三田学園)

 三田学園の主将、沖良憲捕手(2年)は最後の1球を悔やんだ。「外を要求したのが、少し中に入った」。同点の九回1死二塁。県大会1回戦から1人で投げてきた熊野慎投手(2年)の133球目を右中間に運ばれ、サヨナラ適時二塁打となった。

 それでも2度の1点ビハインドを追いつく粘りもみせた。岩根健太監督は「やってきたことは出せている」と手応えを口にした。

 プロ野球ロッテ元監督の山本巧児さんや元巨人の強打者淡口憲治さんらが卒業生。春の甲子園に4回出場し1969、70年の選抜大会では8強。ただ91年春を最後に甲子園から遠ざかっている。2021年夏の兵庫大会では初戦敗退した。

 学校は12年に共学化するなど、進学に力を入れる。岩根監督は「以前のように長時間の練習で鍛え上げるのは現状に合わない」と自主練習を重んじ、約3年前からメンタルトレーニングを導入。方針が浸透したのが今のチームだという。今大会は1回戦から準々決勝までの4試合で失点3。熊野投手を中心に堅い守りで勝ち上がった。

 甲子園を取り戻す戦いはまだ終わっていない。近畿大会への最後の椅子をかけた3位決定戦に向けて、沖主将は「粘り強く戦いたい」と前を見据えた。(岡田健

ジャンルで探す