7イニング制 より増した1点の重み 若手監督が見た国際大会

高校日本代表のアシスタントコーチを務めた羽後の監督の佐藤さん=2024年9月12日午後5時21分、横手市、隈部康弘撮影

 台湾で開催された野球の第13回U18アジア選手権で、高校日本代表のアシスタントコーチを羽後の監督の佐藤悠也さん(28)が務めた。試合での一塁コーチのほか、対戦相手の資料作りなどでチームをサポート。一線級の選手が集った国際大会で感じ取ったこととは――。

 大会は2~8日に開かれ、日大三(東京)を長く指導した小倉全由監督が代表を率いた。1次リーグから6試合を戦い、成績は準優勝だった。

 佐藤さんは大仙市出身。大曲3年の夏は秋田大会で4強入りした。青森公立大を卒業後、高校の指導者に。今回、県高校野球連盟の推薦で日本代表のスタッフに加わった。

 佐藤さんの印象に残った一つに、三塁手の山畑真南斗選手(高知・明徳義塾)のプレーがあった。2次リーグの台湾戦の六回、先頭で左前安打を放って出塁し、三塁に進塁。バントが転がったらスタートを切るセーフティースクイズで自慢の足を生かし、紙一重で生還した。この1点が決勝点になった。

 山畑選手は五回に失策を記録していた。「ミスをしても下を向かず、挽回(ばんかい)しようとするメンタルに感心した」と佐藤さん。「走塁の意識が高かった。165センチと小柄だけど、夢のある選手だな」と感じたという。

 選手は練習でのキャッチボール一つとっても全力で集中していた。「時間の使い方が上手なんです」。内野手は、言われなくても中継に入ったときの動作を入れるなど気構えが違った。

 この大会は、日本高野連も検討し始めた7イニング制で行われた。「短いです。あっという間です」。悪くすると下位打線は3打席回るかどうか。四回を終えてグラウンド整備が入り、もう残りは3回。リードされた場合、従来のように後半で何とか盛り返すという展開に持ち込みづらい。

 「1点の、特に先取点の重みがこれまでとは段違い」。逆に相手にスキを突かれて先行されないために、「守備のいい選手を最初から起用しないと厳しくなる」。投手力を含めた守備力の強化が一層大切になってくる、との思いを強くしたという。(隈部康弘)

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