貧打に悩む阪神打線、4番大山の一打で爆発 岡田監督は通算700勝

七回裏阪神無死一、三塁、左前へ先制適時打を放つ大山悠輔=有元愛美子撮影

 (27日、プロ野球 阪神タイガース8―1中日ドラゴンズ

 いつ以来だろうか。こんなに甲子園が沸いたのは。

 打線に火を付けたのは、悩める4番だった。0―0の七回。無死一、三塁で打席に入った阪神の大山悠輔は「絶対になんとかする」。打率は2割台前半で、一回に同じような場面で併殺打に倒れていたが、強気だった。浮いたスライダーを逃さない。左前へ運んで均衡を破ると、普段は物静かな29歳がベンチへ向かって拳を振り上げた。

 これが号砲になった。

 続く前川右京は右翼線へ二塁打。佐藤輝明も左前安打で続き、3者連続の適時打で一挙4得点。八回も勢いは止まらない。5長短打を集めてさらに4点を奪った。12試合ぶりの2桁安打となる計12安打を浴びせて大勝した。

 今季は開幕から貧打に悩んできた。試合前までのチーム打率2割1分8厘はリーグ最下位。昨季の38年ぶりの日本一を支えた主力の大山、佐藤輝が2軍降格を経験し、この日は1番近本光司も不振で先発から外れた。

 起爆剤になった大山は言った。「流れを変えられてよかった」。続いた前川も「大山さんの一打でいける、となった」と勇気をもらった。

 この勝利で岡田彰布監督は史上20人目となる監督通算700勝目を飾った。が、手放しでは喜べない。「明日からが大事。続けないと意味ないよ、はっきり言うて」。シーズンはちょうど折り返しに差し掛かる。深い眠りから虎が目覚めるか。(山口裕起)

 村上(神) 九回途中1失点で約2カ月ぶりの3勝目。「完封したかったけれど、自分らしく粘り強く投げられた」

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