大谷翔平、左肩の亜脱臼が “吉兆” と大盛り上がりの理由… 現地では「36年前のWS優勝の再来」との期待

 

 満員に膨れあがり、隣の人の声さえ聞こえなったスタジアムが一転、静粛に包まれたのは、ワールドシリーズ(WS)第2戦終盤のことだった。

 

 ドジャースヤンキースを4対1とリードした7回裏、四球で出塁した大谷翔平はすかさず盗塁を試みる。

 

 だが、スタートが遅れたことに焦ったのか、大谷は滑り込む際、いつもより右足を強く前に出そうとする。結果、体が宙に浮く感じになったことで、左手を地面につき体を抑えようとした。それがすべてだった。

 

 

 アウトのコールが告げられても起き上がれない大谷。ド軍スタッフが駆け寄ると、「肩っすね」「どっち?」「左」「外れた?」「そうですね」のやり取りが続く。ようやく起き上がってベンチに引っ込むも、最後までグラウンドに姿を現すことはなかった。

 

 多くのド軍ファンは「WSでの大谷は終わった」と思ったに違いない。実際、試合後、デーブ・ロバーツ監督から発表された症状は「左肩の亜脱臼」だった。

 

 しかし、一夜明けた会見で、ロバーツ監督からは「(明日)プレーしないとは思わない」と強気な発言が飛び出ている。さらに「今朝は調子がいいと聞いている。可動域、筋力もいい。30分後には球場にいて、トレーニングをこなすはず。自信をつけるために今日やることがある」と、チームに合流する予定まで明かした。

 

 ただし、いくら大谷の回復力が驚異的とはいえ、これまでと同じようなレベルでプレーできるとは限らない。ましてや第1戦で劇的なサヨナラ満塁ホームランを放ったフレディ・フリーマン一塁手も強度の捻挫をした右足首に “爆弾” を抱えている。

 

 ムーキー・ベッツは問題なしだが、大谷、フリーマン、ベッツの「MVPトリオ」のうち、2人が本調子でないとするなら、2連勝しているとはいえ、ド軍には不安がつきまとう。

 

 しかし、こうした苦境においても、まったく逆の見方をする者もいる。「試合に出られるレベルのケガならば、それは “吉兆” でもある」と現地ベテラン記者が語る。

 

「WSでのサヨナラホームランはフリーマンで3人めですが、最初はフリーマンの先輩であるド軍のカーク・ギブソンが記録しました。1988年のアスレチックス戦でしたが、左太もも裏と右膝を痛めていた彼が9回に代打でサヨナラ2ランを放ち、足を引きずりながらベースを回ったシーンは、いまでも語り草です。

 

 それをフリーマンにダブらせるファンは多いんです。フリーマンも、捻挫を抱えるなかでの劇的サヨナラ満塁ホームランですからね。1988年のときは、このサヨナラ弾で勢いに乗ったド軍が世界一になりました。現在、地元ロスでは、『36年前の再来だ』と大いに盛り上がっています」

 

 替えの利かない大谷は左肩の亜脱臼だが、こうした「ケガからの大活躍」がド軍のWS勝利の方程式との見方もある。

 

「どうやら、WS出場が絶望といった当初の見方と異なり、第3戦も出られそうな感じです。ロスの人たちは天候同様、陽気な人が多いので、『(負傷した)オオタニに一発が出れば世界一は間違いなし』といった吉兆ムードにさえなっています」(同)

 

 まさに “ケガの功名” を期待したいところだ。

ジャンルで探す