サッカー日本代表、連続得点記録更新中もファンが怒る森保監督「大型センターバック招集せず」の“失策”米代表へ“引き抜き”の危機

 

 サッカーW杯を現地で取材すること7回のベテランサッカー記者は、10月3日に発表された北中米W杯アジア最終予選のメンバー27人を、これまで以上に注目していたという。

 

 開幕2連勝し、しかも中国、バーレーン相手にそれぞれ7-0、5-0と、これまでの最終予選にない最高のスタートを切っている日本代表。さらに15日には、オーストラリア相手に1-1とドローとなり、史上最長の25試合連続得点という記録を樹立している。

 

 こうしたいい流れはあるものの、「サプライズ選出」を期待していたかといえば、この記者によればそうではないという。

 

 

「実際には、英2部ブラックバーン所属の大橋祐紀が初選出されましたが、“石橋をたたいて渡る”タイプの森保一監督だけに、メンバー選考に大きな変化はないと思っていました。ただ、どうしてもひとりの若いディフェンダーを入れてほしかった。それがチェイス・アンリです」

 

 チェイス・アンリは米国人の父と日本人の母を持つ、身長187cmの大型センターバックだ。神奈川県で生まれたあとに3歳で渡米し、その後、中学1年生の夏まで米国で過ごす。帰国後は、福島県の尚志高校に入学し、3年時には冬の全国選手権にも出場した。

 

 スケールの大きなプレーへの評価は国内だけにとどまらず、欧州にも響きわたった。結果、高校卒業後はJリーグを挟まず、遠藤航も所属した独・ブンデスリーガの名門シュトゥットガルトに入団した。

 

 2020年のU-17日本代表を皮切りに、各カテゴリーの代表にも選出された。当然、パリ五輪でもディフェンスラインの中心と期待されたが、所属チームが代表参加に許可を出さず、五輪出場は夢と消えた。

 

 そんな彼は、U-23 日本代表の経験はあるものの、フル代表の経験はまだないのだ。

 

「FIFAの規定で、フル代表の試合に1秒でも出場すれば、その国以外の代表にはなれません。チェイス・アンリは日本のフル代表の経験がないので、言い換えれば、諸条件さえ整えば米代表入りの可能性もあるわけです。実際、アメリカ合衆国サッカー連盟が“アンリ獲得”を画策中、という話もあったんです。それを阻止する意味でも、今回の27人のなかに入っていてほしかったんですが……」(前出・サッカー記者)

 

 日米間で、チェイス・アンリ争奪をめぐって“空中戦”が開幕していたのだ。この記者は、過去の日本サッカー史のなかの、ある“失策”の二の舞いを危惧する。

 

 Jリーグが開幕する前年の1992年、ヴェルディ川崎(現・東京ヴェルディ)に、マルシオ・アモローゾという18歳のアタッカーがいた。

 

「当時のチームは外国人枠の都合もあり、アモローゾはJ1の試合に出れませんでした。でも、その能力の高さは誰もが認めるところで、サテライトリーグではまさに“独壇場”のような活躍ぶりでした。ラモス瑠偉の前例もあり、チームはアモローゾの日本国籍取得を真剣に考え、本人もその気になって日本語を勉強していたんです。

 

 ところが、常勝を求められたチームは若いアモローゾに外国人枠を与えることをせず、さらに移籍金問題も重なりました。結局、試合に出られないことを不満に思ったアモローゾは、ブラジルに帰国してしまったんです」

 

 帰国後、彼の実力がサッカー界に知れわたるまで、長い時間は必要なかった。ジーコが所属したフラメンゴで頭角を現し、1996年にはセリエAのウディネーゼに移籍すると、3年後には得点王に。当然、ブラジル代表にも選ばれ、まさに手の届かない存在となってしまったのだ。そうならないためにも、チェイス・アンリを今回、代表に呼んでほしかったというのが、この記者の危惧する理由だ。

 

 Xでは、《森保は最終予選冨安の、故障でアンリを呼ぶチャンスなのに、呼ばなかったからな!大型DFをアメリカに取られたらどうすんだ?》《アメリカにひきぬかれたら、貴様のせいだぞ!(怒)》などと、熱烈なサッカーファンから怒号が飛びかっている始末だ。

 

 今回、初選出はならなかったが、幸いにも最終予選は11月15日のインドネシア戦、19日の中国戦とアウェー2連戦が控えている。ここで招集しなければ、本気で米国が仕掛けてくる可能性があるのだ。

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