菅野智之、メジャー挑戦の裏に巨人の「菅野復活計画」…秘策はバッテリー組み換えと “脱力投法” 指示
一時はあきらめた夢を、自らの投球で、もう一度手繰り寄せたということだろうか。
巨人が4年ぶりの優勝を決め、シーズンも押し迫ったいま、アメリカから衝撃のニュースが飛び込んできた。巨人の菅野智之投手が今オフに海外FA権を行使して、メジャーに挑戦するというのだ。
にわかには信じられない報道だったが、メジャー挑戦がアメリカで報じられた翌日、10月5日には、菅野自ら練習後に取材に応じ、「球団には自分の意向っていうのを伝えさせてもらって、僕自身もやっぱり向こうでプレーするっていう気持ちでいるので」と正式にメジャー挑戦を発表した。
菅野のメジャー志向はいまに始まったことではない。巨人のエースに成長し、最多勝を獲得した2017年ころからは、メジャーへの夢を隠そうとはしなくなった。
14勝をあげて3度めの最多勝に輝いた2020年オフには、ポスティングでメジャー移籍を目指した。だが、菅野サイドが思っていたような好条件を提示する球団が現れず、仕方なく断念した経緯があった。
その後は成績が急降下。メジャー移籍は誰もが断念したと思っていた。巨人担当記者も、衝撃を隠せない。
「我々でさえも『菅野が海を渡ることはなくなった』と思っていました。『全盛期に向こうで見たかった』という声は多かったのですが、巨人が頑なに反対。そうこうしているうちに、菅野の実力がかなり落ちてしまったからです。
ところが、今季は完全復活。球速も全盛期近く出るようになったし、変化球の切れも素晴らしかった。今季24試合で15勝3敗、防御率1.67と活躍しました。このことで自信が蘇り、再度メジャー挑戦を表明したのだと思います」
巨人はこの3年、優勝から遠ざかっていた。さらに今季、通算17年にも及ぶ “原政権” から阿部慎之助監督に変わったこともあり、セ・リーグのV奪還は至上命令だった。そのためには「エース菅野の復活が大前提だった」と、前出の記者は続ける。まず着手したのは、バッテリー間の見直しだった。
「昨季までは “打てる捕手” として大城卓三を第一に起用していたんですが、リードがあまりよくなく、菅野との相性もよくなかった。そこで、今季から打撃は2軍レベルではありながら、インサイドワーク(捕手の頭脳プレー)に優れ、肩の強さも球界屈指の小林誠司と組ませた。これが菅野復活の第一歩だったと言われています。
また、菅野復活のために、専門的なことは久保康生巡回投手コーチに任せたこともよかった。彼は名伯楽であると同時に、“再生屋” としても有名です。彼の教えを請いたい投手はたくさんいたのですが、多くの時間を菅野に費やしていました。久保コーチは『投球時に力が入りすぎている。力を抜き、風が吹けばどちらにも振られる “やじろべえ” のような脱力投法を身につけろ』とアドバイス。これが、ことのほか菅野には効いたようです」(前出・巨人担当記者)
阿部監督の「菅野復活」への取り組みはみごと成功し、菅野は復活した。そして復活したばかりに自信がつき、阿部監督にとっては寝耳に水のメジャー挑戦となった。
「阿部監督は『一野球人としたら、やっぱり応援したい。日本一になって、かっこつけて行けって言いたいね』と背中を押していますが、本音はどうでしょう(笑)」(同)
やはり、本心は「トホホ……」ということか。
10/09 04:45
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