【CS開幕】阪神・岡田監督「後任依頼を固辞」、日ハム・新庄監督「日本一達成でナルシスト勇退の願望」…名将たちの舞台裏地獄耳

 

 シーズンも残りわずかとなった時期に衝撃的なニュースが日米両国から飛び込んできた。阪神の岡田彰布監督が今季での退任が決定したという。球団初のセ・リーグ連覇はならなかったものの、2位でクライマックスシリーズ(CS)進出は決定。日本シリーズ連覇の道は残されていただけに、意外な報道だった。

 

 さらに、巨人が4年ぶりのセ・リーグ制覇を果たしたのは9月28日のことだった。その翌日、今度は米メディアから「菅野智之が海外FA権を行使し、メジャー移籍!」の一報。一時は諦めたと言われたメジャー移籍への夢は、まだ捨ててはいなかったのだ。

 

 

「2020年には渡米してまでメジャー移籍を模索したんですが、思ったほどの高評価は得られずに移籍を断念しました。その後はケガや不調もあって、我々も『メジャー移籍はもうない』と思っていました。

 

 ところが彼は諦めていなかった。そこまで強く長くメジャーへの思いを持ち続けられたのには訳があったんです。彼は2017年のWBCでスターを揃えたアメリカ代表相手に、6回をわずか2安打1失点に抑えた。このときの投球はアメリカの選手はもちろんのこと、名将リーランド監督を大変驚かせたんです。なにしろ名将をして『スガノはビッグリーグ(メジャーリーグ)のピッチャーだ』と、最大限の賛辞を送ったほどでしたから。菅野はその言葉をいつも胸に秘め、『いつかは!』の気持ちを捨てずやってきたんです」(巨人担当記者)

 

 そこで今回は「岡田監督退任」「菅野メジャー移籍」を含め、CS進出を果たしたセ・パ上位2チームの監督に何が起こっているのかを担当記者の話とともに“ストーブリーグの内幕”をお届けしよう。

 

 まずは冒頭のセ・リーグ2位の阪神・岡田監督から。

 

「2年契約の1年めの昨季、日本一を手土産に勇退する話はあった。それほど健康面に不安があったからです。何とか復調して続投となりましたが、今季はチーム内に怪我人が続出し、主力の大山悠輔、佐藤輝明も揃って不調と、昨年ほどの勢いがなかった。それでも2位と善戦しましたが、岡田監督は契約最終年ということで勇退の形になるようです。ただ、短期決戦前に監督交代が明らかになると、チームの結果は良くないことが過去のデータで示されていますから、心配です」(阪神担当記者)

 

 次期監督も、「すんなり決まらなかった」と続ける。

 

「本来なら8月中に方向性が決まるはずでした。ところが、宝塚歌劇団のパワハラ自死問題が長引き、阪神の親会社でもある阪急阪神ホールディングスは対応に追われて、後任選びどころではなかったようです。

 

 そこでいつもより遅れて着手しましたが、フロントも岡田監督も次期監督には鳥谷敬を推した。でも、鳥谷が『阪神監督は(自分には荷が)重い。しかもレジェンドである岡田監督のあとは務まりません』と固辞したと聞いています。次に接触したのが藤川球児。でも現在も阪神スペシャルアシスタント(SA)を務めているように、監督よりもフロントの仕事に興味がある。なので兼務の可能性もあります」

 

 日ハムを2年連続最下位から2位に躍進させた新庄剛志監督(52)だが、契約更新の話は聞こえてこない。

 

「新庄監督ほど若手育成に成功した監督はいないでしょう。万波中正、清宮幸太郎ほか、“新庄チルドレン”の選手を計9選手も球宴に送り込んだほど。若手を育て、2年連続最下位から今季は2位に。その手腕は見事でした。

 

 もちろんフロントは契約更新を打診していますが、新庄監督がまだ進退を表明していない。彼のなかでは日本一になればスパッと辞める。なれなかったら続投という計算があるようです。ナルシストらしい幕引きを狙っているのではないでしょうか」(日ハム担当記者)

 

 巨人を4年ぶりのセ・リーグ王者に導いたのが阿部慎之助監督(45)である。

 

「二軍監督時代は、“昭和野球”を地で行くような指導で、一軍監督としてはどうか、と心配されましたが、見事に変貌を遂げました。締めるところは締め、褒めるときは徹底的に褒める。使い分けが絶妙でした」(巨人担当記者)

 

 ただし、阿部監督には菅野のメジャー移籍とともに、「もう一つ頭を悩ませていることがある」とスポーツ紙デスクは語る。

 

「それは岡本和真の去就です。彼も菅野に負けず劣らずメジャーへの憧れが強かった。その憧れは、2023年のWBCで大谷翔平ダルビッシュ有と共に戦ったことでさらに強くなった。もし日本一になったらオフは大荒れになると思いますね」

 

 阿部監督同様、就任1年めで“常勝軍団”ソフトバンクを復活させたのが小久保裕紀監督(52)だ。

 

「現役時代はチームの主砲で、巨人でもプレー。NPB所属チームの監督をやる前に日本代表監督にもなっています。輝かしい経歴の持ち主だけに、2020年オフにソフトバンクの1軍ヘッドコーチに就任したときは、選手への指導も“上から目線”と揶揄されました。でも、監督になってからは選手目線まで下がってきて、選手にも好評と言われています」(ソフトバンクOB)

 

 だが、毎日のように張り付く担当記者の見方は少々違う。

 

「対応がソフトになった感はありますが、監督を煙たがっている選手もいます。

 

 決定的だったのは、8月25日の日ハム戦。ランナー、二塁でレフト前ヒットが出ると井出竜也三塁コーチは手を回して本塁突入を支持も余裕のアウトに。直近の5試合で3度めの本塁憤死だったのですが、2日後には体調不良で井出コーチはベンチを外れました。しかもそれ以降、復帰していません。

 

 小久保監督と井出コーチは仲が良かっただけに、選手たちからは『そこまでするか』『恐ろしい』といった声が上がっています。ちなみソフトバンクは今季、貯金41の圧倒的な強さを誇っていましたが、日ハム戦だけは終盤に7連敗するなど、12勝12敗1分けの五分。よほど井出コーチの“離脱事件”は、ナインにはショックだったようです」

 

 10月12日から始まるCSファーストステージ。指揮官たちは、それぞれの思いを胸に決戦に挑む。

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