楽天・田中将大、1軍復帰に「待った!」早期復帰待望のなか今江監督が“追試”を要求した裏事情
名球会入りの条件となる「日米通算200勝」まであと3勝で迎えた、2024年シーズン。楽天・田中将大投手としては、シーズン早々に達成し、その後は新たな目標に向かっていくつもりだったに違いない。
ところが、キャンプこそ1軍でスタートするも、オープン戦で3度、登板したあとは2軍暮らしが続いていた。定期的にブルペンで投げることができず、予定されていた実戦登板を回避したことすらあった。
それでも意欲は失わず、ようやくめぐってきたチャンスに、田中は最低限の結果で1軍昇格をアピールした。9月4日のイースタン・リーグのDeNA戦で、5回3分の2を投げ2失点。遠ざかっていた実戦登板で、先発復帰の目安となる球数100球もクリアした。試合後に「リハビリ登板はもうないんじゃないかな」と、控えめながら自信をのぞかせたその言葉が、誰よりも1軍復帰を確信していたに違いない。
「(9月10日現在)楽天はクライマックスシリーズ(CS)出場条件となる3位ロッテとは3.5差で、負けられない戦いが続いています。田中には往年の力はありませんが、その緊張感ある戦いが続くなかで、彼の経験やアドバイスはとても役に立つはずなんです。彼がベンチにいるだけでも違う。だからこそ、チームとしても1軍に上げたいと思っていたし、田中自身も『リハビリ登板はないのでは』と言ったと思います」(楽天担当記者)
また「球団として、今オフを考えても、1軍での登板は必要なはず」と続ける。
「田中は2021年に楽天と再契約をしましたが、そのときの年俸は球界最高額の9億円でした(金額はすべて推定)。ただ3年間は不調で、今季の年俸は大幅に下がり、2億6000万円といわれています。ただ、それでも高額で、そこまでの選手が1軍に一度も上がれないとしたら、来季は減俸どころか契約さえ難しくなります。
楽天は2013年に初の日本一となりましたが、その最大の功労者が、24勝0敗と無双の活躍を見せた田中でした。その彼をむやみに切ることはできないし、そのためにも『1軍で投げた』という事実こそを、球団はほしかったんです。だからこそ、見切り発車とはいえ、すぐにでも1軍に上げるとみられていました」
ところがである。田中を1軍に上げるか否かは、もう1試合、登板させ、その結果を見てからとなったのだ。
「その決定を下したのが、今江敏晃監督です。9月6日に『しっかり精査して、判断したい』と、田中について言及したのです。
今江監督は、現役時代はロッテで長く活躍し、その後、楽天に移籍してきた、いわば“外様”。そのため、シーズン当初は三木谷浩史オーナーの厳しい要求に、自分の意見を言うことがまったくできず、周囲からは『三木谷オーナーの“操り人形”』なんて陰口を叩かれていたほどです。
ところが、今江監督の手腕が徐々に認められるようになると同時に、なぜか三木谷オーナーの目が、野球よりサッカーのヴィッセル神戸に向くようになり、横やりや監視の目がなくなったわけです。すると、今江監督はある程度、自由に采配を振れるようになり、自分の考えをどんどん出せるようになったわけです。田中の昇格にはコーチ陣や営業サイドからも熱望する声はありましたが、今江監督だけが待ったをかけ、もう1回“追試”となったわけです」(同前)
田中の“追試”は、9月13日のイースタンリーグ、日ハム戦に予定されている。
09/11 09:30
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