柔道・阿部詩の号泣に会場から “ウタコール”…ネットにあふれる感動の声「胸が熱く」「グッときた」「4年後、帰ってきましょう」

まさかの2回戦敗退となった阿部詩(写真・JMPA)

 

 さすが柔道人口は50万人。日本の12万人を大きく上回り、世界一を誇るフランスだけのことはある。柔道の、そして武道の精神をよく理解している――。

 

 2024年7月28日、パリ五輪女子柔道の52キロ級で日本の阿部詩が世界ランク1位のケルディヨロワ(ウズベキスタン)にまさかの一本負け。2回戦敗退となった。

 

 連覇の夢どころか、準々決勝にも進むことができなかった。阿部が負けたのは、棄権を除けば、2019年11月のグランドスラム大阪決勝でのブシャール(フランス)戦以来。

 

 試合後のあいさつ、畳から降りるところまではなんとか耐えた。だが、畳下で待ち構えていた平野幸秀コーチを見ると涙が止まらなくなった。あとは必死に平野コーチに抱きつき、声にならない号泣がしばらく続く。平野コーチは控室に連れて帰らなければいけない立場にあったが、泣き崩れる阿部の背中を優しくなでるしかなかった。

 

 

 そんなときだった。阿部の悲鳴をかき消すかのように、会場には「ウタ! ウタ! ウタ!」のコールが木霊する。それは、まさに阿部のこれまでの実績に応えるかのようなコールだった。

 

 パリ五輪は始まったばかりだが、残念なことにスポーツマンシップに乗っ取っているとはとても言えない行為が目立つ。

 

 サッカー男子で日本の選手の足を何度も踏みつけたパラグアイの選手。同じくモロッコ対アルゼンチンで、アルゼンチンの同点ゴールに怒って爆竹を投げる、ピッチに乱入するモロッコ人サポーター。審判の『待て!』の声がかかっても永山竜樹の首を締め続けたスペイン人柔道家。それを反則と認めず、スペイン人の一本勝ちを判定した審判……。

 

 そうした問題が相次いでいることもあり、阿部の健闘を讃える温かい “ウタコール” に対し、Xでは感激の声が押し寄せた。

 

《会場のウタコールに感動しました。イエスノーがハッキリしている外国人がブーイングや冷ややかな目で見るのでは無く讃えている》

 

《試合に負けたのは残念でしたが、フランス人の貴女に対する尊敬は素敵な声援を与えてくれました。4年後、帰って来ましょう》

 

《敗退し大号泣する阿部詩選手。4年に1度のこの試合のために人生をかけてきたパリオリンピックまでの日々を想像すると、涙が出ました。 ウタコールで励ます、パリの柔道ファンの温かさに胸が熱くなりました》

 

《パリのファンの温かい詩コールもグッときた》

 

 もちろん、《勝った時より負けた時に人間性がでる。負けて大声で泣くのは子供のやること。みっともない》といった厳しい見方もあったが、少数派。

 

 阿部詩がこの日のためにどれだけ努力をしてきたのか、それを理解したうえでの “ウタコール” だったと信じたい。

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