書き換えられたアジアサッカーの勢力図…インドネシアら東南アジアが“躍進”するワケ

2024 AFC U-23アジアカップは日本が優勝(写真・ロイター/アフロ)

 

 サッカー男子のパリ五輪最終予選を兼ねたU-23アジアカップは、U-23日本代表の4大会ぶりの2度めの優勝で幕を閉じた。

 

 もともとこの世代は、1999年の小野伸二が率いたU-20日本代表と比較されるなど、“黄金世代”と呼ばれてきた。だが、五輪予選には協会の拘束権がないため、欧州で活躍する若き才能たちの招集は見送られた。そのため、8大会連続での五輪出場は危ぶまれていた。

 

 だがU-23日本代表は、準々決勝で地元カタールを延長戦の末破ると、その後は試合ごとに成長の跡を見せた。

 

 

 今大会の決勝トーナメント表を見て、驚いたサッカーファンも多かったはず。日本、韓国、サウジアラビアと並んで、必ずベスト8には勝ち上がってくる豪州やイランがいないのだ。豪州は今大会のグループリーグでの敗退だったが、イランは予選段階で敗退し、この大会に出場することすら許されなかった。

 

 代わって台頭したのが東南アジアのインドネシア、ベトナム、そして中央アジアのウズベキスタンだった。

 

 さらに驚かされたのがベスト8でインドネシアは韓国を、ウズベキスタンはサウジアラビアを破りベスト4に進出したことだった。

 

 五輪だけでなく、ここ最近のW杯を見てもアジアから出てくるのは日本を始め、韓国、サウジアラビア、イラン、そして豪州だったが、ベスト4時点で残っていたのは日本だけだったのである。

 

「ウズベキスタンやベトナム、タイ、インドネシアなどはさらに若いU-17世代から結果を出し始めています。とくに、これまでは強豪に数えられなかった東南アジアの各国の成長はめざましい。アジア全体のレベルが上がってきて、日本もうかうか出来なくなっていて、アジアのサッカー勢力図が変わり始めたことを示しています。

 

“第3の国”が強くなってきた理由は、まず海外の優秀な監督を招き入れるようにしたことですね。また、すぐには結果が出ませんから、下のカテゴリーの強化をはじめていることも重要。その積み重ねでトップが強くなっているのです」(サッカーライター)

 

 海外の指導者の受け入れで躍進したのが、インドネシアだった。同国はベスト8で韓国をPK戦の末下したが、インドネシアを率いていたのは韓国人の申台龍監督(シン・テヨン)だった。しかも申監督は2022年W杯で韓国代表を率いてベスト16に進出。その後退任したが、事実上の解任だったという。申監督にとっては、まさに溜飲を下げる形となった。

 

 一方で10大会連続出場の記録を“伏兵”に止められた韓国。同サッカー協会は、国民の怒りが爆発する前に「おわび」の声明文を出して鎮静化を図った。

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