2mのGK投入に「恥ずかしすぎる」破れかぶれのサッカー中国代表“迷采配”へ本国サポーターからも怒り炸裂

4月16日、日本に敗れた際の中国代表。ユ・ジンヨンの背の高さがひときわ目立つ(写真・共同通信)

 

 パリ五輪予選を兼ねたU-23アジアカップが、4月15日に開幕。B組の日本は中国(16日)、UAE(19日)に連勝し、早々と決勝トーナメント進出を決めた。22日に韓国と対戦し、勝ったほうがトップ通過となる(引き分けならPK戦で決着)。

 

 一方で「今度こそ!」との国民の期待を背負ってパリ五輪出場を狙った中国だったが、開幕から日本、韓国に連敗し、またも本大会出場を逃した。

 

 その中国だが、日本戦、韓国戦の選手起用に注目が集まっている。

 

 

 日本戦で中国は、前半8分にMF松木玖生(くりゅう)に先制点を許したが、同17分にDF西尾隆矢が肘打ちによる報復行為で一発退場。その後は数的有利を活かし、優位に試合を進めた。だが中国も決めきれない。

 

 そして迎えた後半43分。中国の成耀東(チェン・ヤオドン)監督は、身長2mの于金永(ユ・ジンヨン)をパワー要員として投入した。残り時間わずかのとき、身長が高い選手を前線に入れ、そこをめがけてロングボールを蹴り込む作戦は、サッカーではよくあることである。

 

 ただし、多くのシチュエーションと違ったのは、ユ・ジンヨンはフィールドプレーヤーではなく、GKだったのである。試合後、チェン・ヤオドン監督は「(ユ・ジンヨン投入は)準備段階から考えはあった。彼は身長2mで技術もあり、ヘディングも強い。今日はこんなシチュエーションだったので、彼を起用した。効果は五分五分だった」と、あくまでも想定内だったことを明かした。

 

 この“迷采配”はまだ続く。19日の韓国戦でも0-2でリードされた中国は、負ければ終わりの展開で再びユ・ジンヨンを投入した。だが、効果的な攻めは見せられず、あえなく敗退が決まった。

 

 いくら身長が高くとも、パワープレーはそれだけではない。競り合ったあとに足元へボールが来たときにうまく扱えないならば、みすみすチャンスをつぶすことになる。こうした采配を2試合連続でおこなったこと、しかも大事な大会予選でとなれば、過去にも聞いたことがない。

 

 当然、「今度こそ!」と応援し続けた中国国民の怒りは、すさまじいものだった。しかもその怒りは、敗退よりもユ・ジンヨン投入に対してだ。多くのファンが「サッカーを侮辱している!」「誰を投入しても大差はない」「代表監督の采配とは思えない。恥ずかしすぎる」「高さにこだわるのなら、バスケット選手でチームを編成すればいい」「今度代表に姚明(ヤオ・ミン/中国出身で身長229cmを誇る元NBA選手)を連れてこよう!」と、矛先を監督の采配に向けた。

 

 これで中国は、五輪では2008年自国開催の北京大会、ワールドカップでは2002年日韓共催大会以来、サッカーで本大会出場を逃し続けている。経済力、人口の多さ、そして影響力と、IOC(国際オリンピック連盟)もFIFA(国際サッカー連盟)も中国の本大会出場を熱望している。しかし、つけ焼き刃的な采配で出場できるほど、アジアのサッカーも甘くはないということだ。

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