英国人が見たサッカー日本代表対ベトナム戦「これはヤバイ！」「久保建英は…」「三笘薫の不在は思ったより…」

●「現在の日本代表は過去に比べれば違う」

　サッカー日本代表は14日、AFCアジアカップカタール2023・グループリーグD組第1節でベトナム代表に4-2で勝利し、国際Aマッチ10連勝を飾った。この一戦について、日本サッカーに精通するイングランド人ライターのショーン・キャロル氏に随時話を聞いた。（語り手：ショーン・キャロル）

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――本日もよろしくお願いします！

「ついに始まりましたね！」

――2019年のときはトルクメニスタンが初戦で、先制されながら3-2で逆転しました。初戦は何が起こるか分からないですね。

「それはそうだけど、現在の日本代表は過去に比べれば違う気がします。相手と差がある中で、必ず勝点3を取ると信じています」

――ベトナムは他のアジアの国のように引いて守ると思いましたが、積極的にボールを回していますね。

「そうですね。ベトナムは怪我人が多くて、引いて守るだけでは我慢できないと思うので、逆に積極的なアプローチを取るかもしれません」

――ベトナムはボールをつなごうとしていますが、日本のエリアに運ぶことはできていないですね。日本の得意なショートカウンターの形になりそうです。

「そうですね。伊東（純也）と中村（敬斗）はチャンスを作りそう」

――南野拓実が決めました！

「南野は最近の代表では少し苦しい時もあったので決めて良かったです」

――2019年のときは主力でしたが、決勝までゴールがありませんでした。

「明後日が誕生日なのでダブルお祝いですね！」

●「久保、堂安、三笘の不在は思ったより…」

「失点してしまった！」

――ベトナムにとっては大きな、日本にとっては苦しい失点でした。

「あれは100回あったら99.5回はゴールにならないですね」

――セットプレーは力の差はあまり関係ないので、気をつけないといけないですね。

「そうですね。この後必ず警戒しないといけない」

――菅原由勢がカウンターを止めてイエローカード…

「攻撃の意識は非常にいいけど、守備も集中しないといけないですね！」

――ええ…。FKから失点です…

「いや〜、それは鈴木（彩艶）に責任がありますね」

――逆転されるという予想していなかった展開になりました。

「本当にそうですね。日本の選手も少し驚いていそうです」

――最近のミャンマー、シリア、ベトナム戦と日本代表は何が違いますか？

「冷静にプレーしていない。そしてスピードとパンチ力がある伊東や中村がいるけど、足元が上手い久保（建英）、堂安（律）、三笘（薫）などの不在は思ったより影響を与えるかな...」

――細谷真大の決定的なチャンスでしたが決められない…

「決めるべきですね」

――いや、南野が決めた！

「タキ〜！ ありがたいですね。『シュート』より『ゴールにパス』でしたね。本当に冷静なフィニッシュ」

――ショーンさんが日本は「落ち着いていない」と言っていましたが、タキは落ち着いていましたね

「その通りですね。経験が活きました」

●「ナカムリッシュ！ これはヤバイ！」

――中村が左から見事なゴールを決めました！

「ナカムリッシュ！ これはヤバイ！ キーパーは止められないシュートだね」
※ソックスと髪型、ポジションが重なるジャック・グリーリッシュ（イングランド代表／マンチェスター・シティ）と掛けた本企画で生まれた造語

――ファーサイドの素晴らしいコースに突き刺しました。

「南野の2点目は『パス』だったけど、ナカムリッシュは110％『シュート』！」

――3-2で日本代表が逆転して前半が終了しました。とてもトピックが多い前半でしたね。

「いろんな課題があった前半だったと思いますが、逆転できて良かったです」

――どこに課題を感じましたか？

「まずは先制点を奪った後ですね。少し自己満足というか気が抜けてしまったような感じになってしまいました。そして、同点にされた後も良くなかった。落ち着きを失ってしまっていました」

――確かにそうですね。

「個人のミスもありましたね。例えば、ベトナム代表の2点目はカウンターを菅原がファウルで止めたところから生まれました。GK鈴木も良くなかった」

――そうですね。昨年11月のシリア代表やミャンマー代表戦ではそういうカウンターを受けるシーンがあまりなかったと思いますが、今日は前半だけで何度かありますね。

「森保一監督もこれはうれしくないはず。後半は減ると思います！」

――落ち着いてやるべきことができれば、問題なく勝てるということですね。

「相手をリスペクトしながら、これまでできたサッカーをすれば必ず勝つと思います」

●「遠藤も伊東もモドリッチくらい…」

――上田綺世が後半から入ります。

「できるだけ早く４点目が欲しいですね！ 期待したいです！」

――ベトナムがボールを回して、日本が受けるという形になっていますね。

「そうですね。日本は前半から学んでいるので、チャンスを与えたくないです！」

――中村→堂安ですね。伊東が左にポジションを移しました。
――早速、その伊東のドリブルからチャンスが生まれました。

「伊東は相変わらずエネルギーに溢れていますね！ 僕のアジアカップファンタジーチームにも入っているので、得点を決めて欲しいです (笑)」

――所属クラブでもずっと先発で、元日のタイ戦も、今日も出て…タフですね。

「英語でそういう選手は『Energizer Bunny』と呼ばれます」

――初めて聞く言葉です

「電池のブランドのCMがあります（編注：米電池メーカーのCMで出てくるピンクのうさぎの人気マスコットキャラクターがEnergizer Bunny）。ライバルブランドより長く使えるというセールスポイントで、サッカー界で使われる『Energizer Bunny』は相手より走れるという意味になりました (笑)」

――伊東も長く活躍してますね。3月に31歳になります。

「遠藤（航）も伊東ももうすぐ31歳ですが、（ルカ・）モドリッチくらい長く活躍してほしいですね。ポジションを考えれば遠藤の方が可能性があるかな...。でも、2人とも次のワールドカップでもキーマンになりそうですね！」

――その通りですね。

●「Jリーグファンにとっては残念です」

――いい形でパスがつながりましたが、上田はオフサイドでした。堂安が入ったことで少し変化がありそうですね。

「先ほどのプレーは良かったですね。堂安のプレスも良かったし、ビルドアップも日本らしかった。リードはまだ1点しかないけどね...」

――日本は毎熊晟矢と佐野海舟が準備していますね。
――菅原→毎熊、守田英正→佐野です。

「Jリーグの選手もこの舞台で活躍してほしいですね！ でもセレッソ大阪と鹿島アントラーズのファンは少し心配しているかもしれない。活躍しすぎたらヨーロッパに移籍してしまうかも(笑)」

――名古屋グランパスの藤井陽也、横浜F・マリノスの角田涼太朗…。

「そうですね。最近はどんどん移籍が早くなっています…。Jリーグで25試合にも出ていない選手もヨーロッパに行っちゃう。日本サッカー全体としては非常にいいことだと思いますが、Jリーグファンにとっては残念です」

――サポーターは複雑な気持ちですよね。嬉しいけど悲しい。

「それがサッカーですね！」

――そして久保建英が入ります！

「出場できないと思いましたが、初戦に間に合いました！ 良かったですね！ 4点目を決めてくれればありがたいです」

――久保→上田でゴールを奪いました！

「仕事が早いですね！」

――遠藤→堂安→久保→上田という連係でした。

「日本代表の選手層はすごいですね」

――まだ冨安健洋や三笘もいます…

「そうですね。旗手（怜央）も前田（大然）も浅野（拓磨）も…。そして中山雄太も！」

――もう1チーム出場した方がいいですね（笑）

「その通りですね。鎌田（大地）や古橋（亨梧）も田中（碧）もメンバーに入っていないし…」

●「HTでビハインドだったら勝てていなかったかも」

――日本代表が勝利しました。改めて今日の試合はどうでしたか？

「より『プロフェッショナル』にゲームをコントロールしましたね。後半はあまり慌てていなかった。そして、技術のある堂安や久保が入ってからいい形が増えました」

――今日のMVPを挙げるなら誰でしょうか。

「大事な時に冷静なゴールを決めてくれた南野ですね。とくに2点目は重要なゴールでした」

――確かに、2得点目は試合の流れを決めるものでしたね。

「日本がハーフタイムでまだビハインドの状態だったら、勝てなかった試合だったかもしれません。チーム全体は今日の苦しい時間から学んで、次の試合でよりいいパフォーマスを見たいですね！」

――本日もありがとうございました！

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