名門バルセロナの獲得報道…GK長田澪って何者だ?

 ラ・リーガ1部の名門バルセロナが来年1月の移籍市場で独ブンデスリーガ1部のヴェルダー・ブレーメンに所属するGK長田澪(20、登録名ミオ・バックハウス)の獲得に動く可能性があるとスペインメディアが24日に報じた。守護神マルク・アンドレ・テア・シュテーゲン(32)が右膝に今シーズン絶望の大怪我を負った状況を受けて、今夏にも関心を寄せた長田を再びリストアップしたという。父はドイツ人で母が日本人。日独両国の年代別代表にも選ばれている長田とは何者なのか。

 スペインメディアがバルサ守護神の大怪我を受けて報道

 試合中のアクシデントで絶対的な守護神を欠いたバルセロナが、日本にルーツをもつ大型ゴールキーパーの獲得に動く可能性が出てきた。
 バルセロナ関連のニュースを専門的に扱う、スペインメディアの『Barca Universal』が24日、キャプテンを務める守護神テア・シュテーゲンが、今シーズン絶望の大怪我を負った状況を受けたバルセロナの動きを次のように報じた。
「バルセロナはすでに、市場からテア・シュテーゲンに代わる選手を探し求めている。すぐに獲得できるフリーエージェントや、来年1月の移籍市場で契約ができる他クラブ所属選手をリストアップしている。そのなかでヴェルダー・ブレーメンのセカンドキーパー、ミオ・バックハウスが選択肢のひとつになる可能性が出てきた」
 同メディアはさらに今シーズンからバルセロナを率いる、ドイツ出身で同国代表の前監督でもあるハンジ・フリック氏(59)の名前もあげながらこう続けた。
「バルセロナのハンジ・フリック新監督はバックハウスを以前から高く評価していて、今夏のバルセロナ入りも検討されていた。最終的にはブレーメンでのプレーを選んだが、テア・シュテーゲンの長期離脱を受けて再び候補にあがったと見られる」
 ドイツ代表の守護神も担うテア・シュテーゲンが負傷交代したのは、22日のビジャレアルとのラ・リーガ第6節の前半終了間際だった。ハイボール処理から着地した際に右膝を痛め、プレー続行が不可能となってそのまま交代した。
 バルセロナは一夜明けた23日に、テア・シュテーゲンが右膝の膝蓋腱を完全断裂する重傷を負っていて、すでに手術も行われたと発表した。全治期間などの詳細は明らかにされていないが、一部メディアは8カ月から最長で10カ月を要すると報じ、いずれにしても今シーズン中の復帰はほぼ絶望となっている。
 ビジャレアル戦はスペイン出身のセカンドキーパー、イグナシオ・ペーニャ(25)が急きょ出場。最終的には5-1で快勝したバルセロナが開幕から無傷の6連勝をマークし、レアル・マドリードに勝ち点1ポイント差をつけて単独首位に立っている。
しかし、昨年1月に正式にトップチームに昇格したペーニャは、同5月にラ・リーガ1部でデビューしたばかりで経験が浅い。唯一無二の存在といっていいテア・シュテーゲンの離脱で、キーパー陣の再編成が急務となっていた。

 

 

 そして、現在無所属の元コスタリカ代表ケイラー・ナバス(37、前パリ・サンジェルマン)や、今夏に引退を表明した元チリ代表クラウディオ・ブラーボ(41、前レアル・ベティス)、元ポーランド代表ヴォイチェフ・シュチェスニー(34、前ユベントス)ら即契約が可能なベテランとともに、長田の名前が報じられた。
 ドイツ人の父と日本人の母の間に、ドイツ西部のメンヒェングラートバッハで生まれ育った長田は父親の仕事の都合で家族とともに来日。小学生年代から川崎フロンターレのアカデミーでプレーし、2018年にはU-15日本代表に選出されている。
 同年に父の母国ドイツへ14歳にして単身で渡り、ブレーメンの下部組織に加入。渡独後からは父親の姓であるバックハウスで選手登録され、ドイツ国籍をもつホープとして、年代別の同国代表にもコンスタントに選出されている。
 昨シーズンは武者修行を兼ねて、オランダのフォレンダムへ期限付き移籍。チームは2部降格を喫したものの、19歳にして守護神を拝命した長田はエールディビジで33試合に出場。通算176セーブとリーグ全体で第1位となる数字を残し、身長194cmの巨躯と相まって、ヨーロッパ市場で一気に注目を集める存在となった。
 今夏に関心を示したクラブのひとつに、先述したバルセロナも含まれている。そして、日本国籍ももつ長田に対しては、日本サッカー協会も継続的にアプローチしている。昨年2月にはヨーロッパ視察中だった日本代表の森保一監督(56)がブレーメンを訪問し、長田と話し合いの場をもったとドイツメディアが報じた。
 同国の大衆紙『Bild』は当時の森保監督の行動を、ドイツサッカー連盟(DFB)への警告を込めた、次のようなタイトルをつけて報じている。
「DFBよ、警戒せよ! ドイツの若き新星の横取りを日本が画策している」
 日本代表としてもプレーする権利がある長田は、いずれはドイツ代表と二者択一を迫られる時期が訪れる自身のキャリアに対して、次のように言及していた。
「まずは日本サッカー協会のアプローチをうれしく思うし、光栄に感じている。ただ、一朝一夕には決断できない。ドイツと日本の両国を同じように感じていますし、どちらの国への思いも、僕は心のなかにもっているので」
 ブレーメンへ復帰した今シーズン。守護神ミヒャエル・ツェッテラー(29)に次ぐセカンドキーパーとして、開幕から4試合を終えたブンデスリーガ、1回戦を終えたカップ戦のDFBポカールで長田は全試合でベンチ入りを果たしている。
 ツェッテラーと切磋琢磨しながら、公式戦出場を目指している真っ只中で再びバルセロナから、今度はテア・シュテーゲンを長期にわたって欠く苦境で白羽の矢を立てられた。前出の『Barca Universal』はこんな一文もつけ加えている。
「ドイツの年代別代表に名を連ねる彼は、今シーズンはまだ一度もプレーしていない。バルセロナでの試合出場が約束されれば、魅力的な提案になるかもしれない」
 いずれにしても、長田が動くのは年明けの移籍市場が開いてからとなる。日独双方から注目されてきた、大いなるポテンシャルを秘める大器が、ヨーロッパの移籍マーケットでもまばゆいスポットライトを浴びようとしている。

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