「キングKAORUが完全復活」新生ブライトンのプレミア開幕ゴールを三笘薫が決める…英メディアも絶賛

 イングランド・プレミアリーグ開幕戦が17日に行われ、ブライトンのMF三笘薫(27)が3シーズン目で初の開幕戦ゴールを決めた。エヴァートンのホーム、グディソン・パークに乗り込んだブライトンは0-0で迎えた前半26分、右サイドからの高速クロスにファーへ飛び込んだ三笘が右足ボレーを一閃。鮮やかな先制弾を決めると、後半21分には相手選手の一発退場を誘発する大活躍を演じ、プレミアリーグ史上で最年少指揮官、31歳のファビアン・ヒュルツェラー新監督の初陣を3-0の快勝に導いた。

 31歳の新指揮官に贈る完璧ボレー

 新生ブライトンのファーストゴールを決めたのは三笘だった。
 敵地に乗り込んだ17日のエヴァートンとのプレミアリーグ開幕戦。両チームともに無得点で迎えた前半26分に、右サイドからガンビア代表FWヤンクバ・ミンテ(20)が放った低空の高速クロスに、反対側の左サイドへトップスピードで詰めてきた三笘が反応。右足で鮮やかなボレーを突き刺した。
 勢いあまって自らもゴール内へ飛び込んでしまった三笘の先制ゴールを、ブライトンのクラブ公式X(旧ツイッター)はこんな言葉で伝えている。
<King Kaoru is well and truly back(キング・カオルが完全復活)>
 昨年9月24日のボーンマスとのプレミアリーグ第6節以来、実に328日ぶりに決めたゴール。左足首と腰に相次いで怪我を負い、昨シーズンの後半戦を棒に振った三笘の復活を告げるゴールは、自身の献身的なプレスバックからはじまった。
 エヴァートンのMFジャック・ハリソンが、右サイドからドリブルを仕掛け、ブライトンのペナルティーエリアまで迫ったときだった。危機を察知し、前線からフルスピードで戻ってきた三笘がボールを押し出すようにカット。こぼれ球を拾ったDFヤンポール・ファンヘッケ(24)が、前方にいた三笘へつないだ。
 ここから三笘がカウンターを発動させる。得意のドリブルで一直線に駆けあがり、ハーフウェイラインを越えたあたりで、中央にいたFWダニー・ウェルベック(33)へパス。さらに右サイドをフォローしてきた、ニューカッスル・ユナイテッドから新加入したミンテへパスがわたる間に、三笘もそのままゴール左を目指していった。
 自陣に戻った三笘のボールカットから、エヴァートンのゴールネットを揺らすまでわずか16秒。ブライトンの地元メディア『Sussex World』は、速報で伝えた10点満点の選手採点で、プレミアリーグに参戦して3シーズン目で初めて開幕戦でゴールを決めた三笘に、最高タイの「8点」をつけたうえでこう称賛している。
ニューカッスル・ユナイテッドからこの夏に、3000万ポンド(約57億3400万円)で加入したヤンクバ・ミンテの素晴らしい縦への突破から、左ポスト付近へ飛び込んできた三笘が完璧なボレーシュートを決めて、それまでにぎやかだったグディソン・パークのファンを黙らせた。昨シーズンの後半に悩まされた腰痛からベストの状態に戻っている三笘は、左サイドで常にエヴァートンの脅威と化していた」
 昨シーズンを11位で終えたブライトンは、オフに大きな転機を迎えた。2022-23シーズンの途中から指揮を執り、三笘らを重用してチームを躍進させたイタリア出身のロベルト・デ・ゼルビ監督(45、現オリンピック・マルセイユ監督)が退任。ヒュルツェラー新監督の就任が決まると、ヨーロッパサッカー界に小さくはない衝撃を与えた。
 ザンクト・パウリを昨シーズンのドイツ・ブンデスリーガ2部優勝と、13シーズンぶりとなる1部復帰に導いたドイツ人監督はまだ31歳。1992年に設立されたプレミアリーグで史上最年少の監督となるからだ。
 イギリスの公共放送『BBC』は、さまざまな意味で手腕が注目されていたヒュルツェラー監督の初陣を、指揮官よりも7歳も年上のベテランで、先発で起用されたMFジェイムズ・ミルナー(38)の存在をからめながら次のように伝えている。

 

「試合前でもっとも関心を集めたのは、大ベテランのジェイムズ・ミルナーの先発起用だった。この夏にブライトンと新たな契約を結んだミルナーが、2002年11月にプレミアリーグでデビューを果たしたとき、ヒュルツェラー監督はまだ9歳だった。しかし、試合が始まった後の主役は三笘だった。彼は終始エヴァートンの守備陣を苦しめ、自らのゴールで素晴らしいパフォーマンスを締めくくった。このトリッキーなウインガーはもっとゴールを奪ってもおかしくなかったが、低い弾道の強烈なシュートはイングランド代表のゴールキーパー、ジョーダン・ピックフォードに防がれた」
 後半に入っても、三笘が与える脅威は衰えを知らなかった。
 リードを2点に広げて迎えた21分。ブライトンが放ったロングボールを39歳の大ベテランで、この試合では右サイドバックを務めた元イングランド代表のアシュリー・ヤングが、半身の体勢から胸で収めた直後だった。
 ヤングの死角の位置から突如として現れた三笘がボールを奪い、そのままエヴァートンのゴールへ向かって加速していく。たまらず後方から三笘を倒したヤングは、サイモン・フーパー主審(42)からレッドカードを提示されてピッチを去った。
数的優位に立ったブライトンはさらに1ゴールを奪い、新体制下での初陣を敵地での快勝で飾った。ブライトンの勝利を決定的なものにしたヤングの一発退場を、イギリスの『Sky Sports』は三笘とからめながら次のように伝えている。
「ヤングはブライトンのロングボールを胸で押さえたが、前方に飛び込んできた俊敏な三笘に奪われてしまう。次の瞬間、三笘を引き倒したベテランのディフェンダーに対して、主審のサイモン・フーパーがレッドカードを提示するのは簡単な作業だった」
 大衆紙の『THE Sun』も、ヤングの退場シーンを大々的に伝えている。
「ヤングのボールコントロールはあらゆる意味で完璧とは言い難く、日本人ドリブラーはいとも簡単にボールを奪ってゴールを目指した。彼を倒した直後にレッドカードを提示されたエヴァートンの右サイドバックは、異議を唱えられる状況ではなかった。ヤングの開幕戦が終わりを告げた瞬間に、エヴァートンの希望も潰えた」
 昨年末に左足首を痛め、欠場を強いられていた三笘はカタールで開催されたアジアカップ後に一時的に復帰。しかし、2試合に出場した後は腰痛で再び戦線離脱を余儀なくされて、そのままプレミアリーグの2シーズン目を終えていた。公式戦でマークしたゴール数は、1年目の「10」から「3」へと大幅に減っていた。
 昨シーズンの最後の公式戦出場となっていた、2月18日のシェフィールド・ユナイテッド戦から181日。精悍な表情とともに、パワーとスピードも増した三笘が戻ってきたブライトンは、24日のホーム開幕戦でマンチェスター・ユナイテッドと対戦する。

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