現役引退後もマドリード暮らしを続けるクロース「ドイツでも快適だとは思うけど…」

トニ・クロース

 今夏限りで現役を引退した元ドイツ代表MFトニ・クロースが、ドイツメディア『RAN』のインタビューに応じ、現役引退後の生活拠点や引退試合の開催有無などについて語った。

 クロースはクラブレベルではバイエルンとレアル・マドリードを中心に活躍。10年間在籍したレアル・マドリードでは公式戦通算465試合出場28ゴール99アシストを記録しただけでなく、2015-16シーズンから始まったチャンピオンズリーグ(CL)3連覇を含む5度の欧州制覇など、実に「22」ものタイトルを獲得した。ドイツ代表の一員としては、FIFAワールドカップブラジル2014で優勝を経験。現在34歳とまだまだ活躍が見込める年齢ではあるが、「自分が思うトップレベルでキャリアを終えたい」という思いのもと、今夏に惜しまれつつ現役を引退した。

 そんなクロースは、現役引退後も、最後の所属クラブとなったレアル・マドリードの本拠地であるマドリードで暮らしているという。クロースは「僕自身、ドイツ人だなと感じる瞬間は多々ある」と明かしつつも、「僕は長い間スペインで幸せに暮らしてきたドイツ人なんだ。これからもそれを変える必要はないだろう」と話し、しばらくはスペインに拠点に置くことを宣言。その理由を、次のような言葉で説明した。

「ドイツに戻る理由が見つかることもあると思うし、見つからないこともあると思う。たとえば、ドイツとスペイン天候が急激に変わる可能性は低いよね。ただ、ここに残るのを決めた1番の理由は家族の存在なんだ」

「僕には妻と3人の子どもがいる。もちろん、ドイツでも快適に暮らすことはできると思うけど、その一方で、今スペインを離れる決定的な理由も存在しない。子どもたちは、ここでアクティビティも楽しんでいるし、学校にはたくさんの友達がいる。僕ら夫婦もすごく居心地がいい。だから今すぐ他の場所に行く理由はない。この先の数年も、僕に取材をしたいのならば、スペインで会ってもらうことになるだろう」

 また、クロースの現役ラストマッチは、ドイツ代表の一員として出場したEURO2024準々決勝スペイン代表戦(●1-2)だった。レアル・マドリードの選手としては、今年6月に行われた昨季のCL決勝・ドルトムント戦(○2-0)になるが、同試合はイングランドの『ウェンブリー・スタジアム』で開催されたため、本拠地の『サンティアゴ・ベルナベウ』に別れを告げたのは、5月に開催された昨季のラ・リーガ第38節ベティス戦(△0-0)。同試合にはキャプテンマークを巻いてスタメン出場し、87分に途中交代する際には、スタジアムに駆け付けたファン・サポーターだけでなく両チームの選手からの拍手に包まれ、ピッチを後にしていた。

 クロースほどの大物選手であれば、引退試合を催すケースも少なくはないが、クロースはこれ以上の賛辞は望んでいないという。「僕は引退試合のようなものをするタイプの人間じゃない。リーグ戦の真っ只中ではあったけど、ここマドリードで僕はみんなに別れを告げたんだ」と語り、次のような言葉で、今後引退試合等を開催する可能性はないと断言した。

「あの試合(※前記のベティス戦)では、みんなが僕に別れを告げるための時間を作ってくれた。だからそれで十分さ。僕は、自分のためだけにみんなにここに来てほしいとか、再び注目されるようなことをしたいとか、そういう類の人間ではないんだ」

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