山形一筋17年、山田拓巳が今季初4連勝に導く一撃! 指揮官も最大級の賛辞「『使って大丈夫かな?』と思うことが1ミリもない」

 J1昇格に向け、猛スパートをかけるモンテディオ山形が今季初の4連勝を達成し、その勢いをさらに加速させた。明治安田J2リーグ第33節、山形はアウェイでヴァンフォーレ甲府と対戦。1対1のタイスコアで迎えた76分、試合を決めたのは“山形一筋17年”のDF山田拓巳だった。

 山田はディサロ燦シルヴァーノにパスを送ると一気にゴール前へ。ディサロからイサカ・ゼインに展開すると、イサカのダイレクトクロスのこぼれ球を山田が蹴り込んだ。「なんであそこにいたかと言われると、自分でもうまく説明できないのですが……。流れの中で高い位置を取ることは珍しくないですし、自分の良さでもあるので。なんとなく来るかもなという感覚はありました」と山田。4連勝に導く殊勲の決勝弾は「カッコいいゴールではないですけど、自分らしく気持ちで押し込んだゴール」と振り返った。

 山形を率いる渡邉晋監督が「今季は苦しい時間の方が長かったと思う」と話す通り、山田は前半戦19試合でわずか8試合の出場にとどまっていた。それでも第26節の徳島ヴォルティス戦でスタメンに抜擢されると、攻守にアグレッシブなプレーを見せて定位置を奪取。「左サイドはヤマ(山田)が高い位置を取る構造になっていて、チームの構造を考えれば(ゴールは)必然だと思います(渡邉監督)」と、山田の攻撃参加は明確な武器になっている。渡邉監督は「勇気を持って決断したヤマが素晴らしかった」と決勝点を称賛するとともに、34歳のベテランDFに対する最大級の信頼を語った。

「昨季パッとスタメンで使ってアシストを記録した試合もありましたし、毎日の彼を見ていると『やってくれる』と思わせてくれます。仮にヤマが大きなミスをして失点して負けたとしても、僕は彼のケツを拭けます。そういったものを毎日しっかりと見せてくれているからこそ、何のためらいもなく彼を送り出すことができる。それをしっかりと自らのものにできる準備をしていますし、素晴らしいフットボーラーです。そういった選手にはサッカーの神様が微笑んでくれますから、今日のゴールもそういうものがもたらされたのかもしれません。『使って大丈夫かな?』と思うことが1ミリもない。若い選手たちは彼の姿勢を見習ってほしいと思っています」

 次戦は同じくJ1昇格を目指す9位のレノファ山口FCとホームで対戦する。山田は「今日に限らず全国どこでも来てくれる頼もしいサポーターがいますし、自分たちの力になっています。間違いなく最高のサポートをしてくれると思うので、また一緒に喜び合えるようにいい準備をしていきたい」と5連勝に向けた意気込みを語った。

取材・文=三島大輔(サッカーキング編集部)

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