差別チャント騒動のエンソに注目も…チェルシー新指揮官「問題はないと思う」

エンソ・フェルナンデス

 チェルシーを率いるエンツォ・マレスカ監督が、人種差別チャントを歌った騒動から動向に注目が集まっているアルゼンチン代表MFエンソ・フェルナンデスの状況について言及した。23日、イギリスメディア『フットボール・ロンドン』が伝えている。

 今月14日に行われたコパ・アメリカ2024決勝でコロンビア代表を延長戦の末に1-0で下して大会連覇を果たしたアルゼンチン代表。しかし、祝賀ムードのなか、チームバスの中でE・フェルナンデスが自身のSNSでライブ配信を行なっていると、選手らがフランス代表に対して人種差別的なチャントを歌っているところも公開されたことで大きな騒動になっている。

 すぐにこの動画は拡散され、アルゼンチン代表選手たちへの非難が殺到すると、フランスサッカー連盟(FFF)は法的措置を取る予定であるとの声明を発表しているほか、チェルシーも内部での懲戒手続きを開始したことが明らかになっている。

 これを受け、すぐに自身のインスタグラムのストーリーズで公に謝罪を表明したE・フェルナンデスは、フランス人選手が多数所属しているチェルシーの内部に向けても謝罪をしたことが報じられている。

 セネガル代表FWニコラス・ジャクソンがE・フェルナンデスは人種差別者ではないと黒人の子どもと遊んでいる時の同選手の動画を自身のインスタグラムに投稿するなど、擁護の姿勢を示している一方、E・フェルナンデスの人種差別的なチャントを歌っている動画が拡散された直後には、フランス代表DFウェズレイ・フォファナが自身のX(旧:ツイッター)やインスタグラムなどでこの動画に「2024年のサッカー界、抑制されない人種差別」とのキャプションを添えて非難を表明した。

 さらに、W・フォファナに加え、DFアクセル・ディサシやDFマロ・ギュスト、FWクリストファー・エンクンクらチェルシーに所属するフランス人選手たちがE・フェルナンデスのインスタグラムのフォローを外したことも判明しており、選手間の関係に軋轢が生じていることが指摘されている。

 今夏レスターから引き抜かれたマレスカ監督は、23日に翌日に控えたプレシーズンマッチ初戦のレクサム(イングランド3部)戦に向けたチェルシー就任後初の会見に出席すると、E・フェルナンデスの状況について質問され、「選手は声明を出して謝罪し、クラブも同様の対応をしている。状況はすでに明らかで、付け加えることは何もない」と語りながら、同選手が合流してもチームに問題はないことを強調した。

「(問題が起きるとは)思っていない。エンソが戻ってきても問題が起きることはないと思う。付け加えることはなく、彼らは悪い人でも、悪い思想を持った人間でもない。エンソとは話をした。選手はすでに謝罪の声明を出している。それが明らかなことだよ」

 また、現時点で続投となるかは未定ではあるものの、昨シーズンからキャプテンを務めているイングランド代表DFリース・ジェームズも会見に出席してE・フェルナンデスについて聞かれると、「明らかに難しい状況だ」と複雑な状況であることを認めつつ、チーム内の関係性を修復するために必要であれば関与するつもりであることも明かした。

「エンソは自分が間違っていたことを認め、すぐにクラブ、チーム、そして自分が怒らせてしまった人々に謝罪をした。彼はまだ合流していないので、修復すべき点があるかどうかはわからない。彼が到着したら判断する。僕はエンソや関係者全員と話をした。でも、その内容は内に留めておくよ」

 なお、関係各所から調査が行われていることが明らかになっているE・フェルナンデスは、イギリス紙『デイリーメール』によると、チェルシーから罰金処分が下される可能性があるほか、処罰を下すことにした場合のFA(イングランドサッカー協会)からは最大12試合の出場停止処分を受ける可能性も指摘されている。

 コパ・アメリカ2024を戦っていたことから、遅れて休暇を取っているE・フェルナンデスは29日にチームに合流する予定であることをマレスカ監督は明かしているが、果たしてチェルシー内の問題は同監督やR・ジェームズの言及通りに解決されているのだろうか。

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