J1優勝争いの天王山は広島が完勝 元ポルトガル代表FWパシエンシアの先制点などで町田を下す

後半、倒されてうずくまる町田・昌子源(カメラ・岩田 大補)

◆明治安田J1リーグ▽第32節 広島―町田(28日・Eピース)

 J1は9試合が行われ、首位の広島は今夏加入した広島の元ポルトガル代表FWパシエンシア(30)の先制ゴールなどで、勝ち点で並んでいた2位町田に2―0と勝利し、首位をキープした。これで10戦負けなし(9勝1分け)とし、15年以来4度目のリーグ優勝へ前進した。

 

 3度のJ1優勝経験を誇る広島が、J1初昇格初優勝を狙う町田に力の差を見せつけた。広島のスキッベ監督(59)が「攻めている時も守っている時も自分たちらしさを出し続けることが大事」と語っていた通り、攻守で隙を見せずに完勝し、優勝に向けて大きな勝利をつかんだ。

 “2つの隙”を見逃さなかった。前半3分。まだ試合開始直後、右ウイングバックのMF中野が、利き足ではない左足で上げたクロスをパシエンシアがニアで合わせた。立ち上がりに生まれた最初のチャンスに、今夏加入した元ポルトガル代表のストライカーが、リーグ戦3試合目の出場で2点目となる決定力を見せて先制した。さらに同23分。ファウルで試合が止まった一瞬を見逃さず、MFアルスランがクイックリスタート。町田の陣形が整っていない隙を突き、再び中野のクロスを今度はFW加藤が合わせて2点目を奪った。

 リーグ最多得点の攻撃力を誇る広島とはいえ、リーグ最少失点の堅守が武器の町田が守備陣形を整えれば、崩すのは容易ではない。しかし町田の守備が整わないうちに、ゴール前で勝負の形に持ち込んで2点のリードを奪った。守っても鋭い攻守の切り替えや、DF佐々木らの熟練の駆け引きで、町田のキーマンと言える194センチFW呉を前半で交代に追い込んだ。

 今夏に11ゴールを奪っていたFW大橋祐紀(28)が英2部のブラックバーン、中盤のキーマンだったMF川村拓夢(25)がオーストリア1部ザルツブルクに移籍。それでもパシエンシア、トルスランの加入やMF川辺の復帰などで、戦力を落とすどころか積み上げてきた。J1は残り6試合。7月5日の神戸戦を最後に負け知らずの広島が、今季からホームとする新スタジアムでの初のリーグ制覇へ大きな勝利をつかんだ。

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