西武のFA撤退濃厚で宣言した阪神の原口文仁の移籍先はどうなる?

 西武が今オフのFA戦線から撤退することが濃厚となり、FAを行使した阪神の原口文仁(32)の有力と見られていた移籍先候補がひとつ消えた。一塁がウイークポイントなのは楽天、オリックス、広島、中日の4球団。原口は、代打ではなくスタメン出場の可能性のある新天地を求めているが果たして…。

 SNSでは西武の方針に批判の声が相次ぐ

 新監督に西口2軍監督を昇格させ、最下位からのチーム再建に乗り出さねばならない西武が今オフのFA戦線から撤退することが濃厚になった。
 一部スポーツ紙が潮崎哲也スカウトディレクターのFA不参加のコメントを報じたもので、SNSでは、「原口調査という報道はなんだったのか」「なぜCランクの原口を取らないのか。交渉してダメだったのか」「圧倒的最下位でドラフトと外国人くらいでろくに補強もしないなら来年も最下位」「現状の立ち位置的にFA参加見送りは意味不明」などの批判の声が相次いだ。
 特に問題となったのがFA宣言をした阪神の原口の獲得に乗り出さなかった点だ。
 今季の原口は主に代打で52試合に出場して打率.241、2本塁打、9打点だったが、5月16日の中日戦では「4番・一塁」でスタメン抜擢されて本塁打を含む4打点の活躍を見せた。
 打線の強化が最大のテーマでFAで山川穂高がソフトバンクに移籍して以来、「右打ちの一塁手」が補強ポイントだった西武にとって原口は、ピッタリと当てはまり、しかも推定年俸が3100万円でCランク。金銭補償も人的補償も不要なのだ。
 さらに原口は埼玉出身。西武が移籍先として最有力という情報が球界を駆け巡ったのも無理はなかったが、事実上「西武・原口」の誕生の可能性は薄くなった。
 西武のユニホームを着たことのある野球評論家の一人は、「今年西武は大きく期待を裏切ったのだから、ファンに対して、チームの再建にどれだけ本気なのかという姿勢を示す必要があった。原口なら年俸の負担もなく、獲得することにリスクもない選手でしかもチームの補強ポイントにも合致していた。なぜ取らないのか不可解。ファンも納得しないでしょう」という意見を口にした。
 
 では、原口の移籍先はどうなるのか。
 原口は、FA決断時に、球団を通じて「いち野球人として、もう一度挑戦したいという思いが強く、この度、決断に至りました」と説明した。代打ではなくスタメン出場のチャンスのある新天地を求めている。

 

 

 今季一塁を固定できなかったのはセ・リーグでは広島と中日の2球団だ。
 広島は坂倉将吾が49試合、堂林翔太が47試合、林晃汰が16試合に先発出場、坂倉は捕手も併用で、固定はできず、新井監督は左右で使い分けている。今季は外国人に失敗したため、右の長打力のある代打も不足している。ただドラフト1位で青学大の右打ちの大型三塁手の佐々木泰を獲得している。
 中日は、期待された中田翔が怪我と不振で51試合出場に留まり、石川昂弥が48試合、ビシエドが10試合先発で一塁を守った。ビシエドが退団、井上新監督は秋季キャンプで細川成也に一塁の練習をさせるなどチームオプションを増やすことに躍起だ。今季は山本泰寛板山祐太郎の元阪神勢の活躍に助けられた側面があり、井上新監督も阪神のコーチ時代に原口の能力は熟知している。
 パ・リーグでは楽天とオリックス。楽天は、鈴木大地が70試合、フランコが37試合、渡邊佳明が13試合、一塁で先発出場した。フランコは打率.218、8本塁打、30打点と期待を裏切り、去就も微妙で、鈴木が左だけに、右の原口は補強ポイントに重なる。超大型ショートの宗山塁をドラフト1位で引き当てたため、内野が余る可能性はあるが、茂木栄五郎がFAを行使した。
 オリックスも頓宮裕真が56試合、セデーニョが42試合、太田椋が35試合に先発出場するなど一塁を固定できなかった。2023年の首位打者の頓宮は、今季は怪我などもあり打率1割台と低迷。2年目のセデーニョは、進化の姿を見せたが、プラス戦力の欲しいポジションだろう。
 前出の評論家も「原口は、代打実績があり、長打力を秘めていざというときに捕手もできる選手。しかも、Cランクのお手頃なFAなので、楽天、オリックスなど手を上げる球団が出てくるはず。来日してみなければわからない外国人選手よりも確実性がある」という見方をしている。果たして原口と交渉のテーブルに着く球団は出てくるのか。

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