出揃ったFA…“お買い得”争奪戦必至はCランクのソフトバンク石川柊太と阪神原口文仁の2人…巨額資金必要な阪神大山悠輔とソフトバンク甲斐拓也は巨人VS残留の構図

 プロ野球のフリーエージェントの申請が13日に締め切られた。海外FAが2人、国内FAが7人。大型契約が必要な阪神の大山悠輔(29)、ソフトバンクの甲斐拓也(32)の2人は、巨人vs残留の構図。人気が集まりそうなのが、金銭、人的補償のいらないCランクの阪神の原口文仁(32)とソフトバンクの石川柊太(32)の2人だろう。昨年は国内では3人がFA移籍したが、今季はそれを上回る人数が動きそうだ。

 過去に阪神から巨人へのFA移籍の歴史はない

 数年前になるが、FA資格を持つ実績のある某選手が、球団OBに相談している現場に出くわしたことがある。
「どこからも話がないんですよ。そんなもんなんですかね?」
「昔はかなり前の段階から裏で話ができているケースが多かったけど、最近はSNSがうるさくなっているし、そうでもないみたいだぞ。ルールに従い、FA宣言を行使してから連絡がくる。チームがFA残留を認めるならやってみたらどうだ?」
 FA戦線の現状を目の当たりにした。
 暗黙のタンパリングが横行していた時代もある。FAイコールどこかの球団と話ができていると考えられることも多かったが、現状はすべてがそうでもないらしい。 
 チーム残留の選択肢も含めて、純粋に他球団でのプレーを希望、あるいは、自らの評価を確かめる意味も兼ねてFAを行使するケースが増えている。
 今年度は海外FAが巨人の菅野と広島の九里の投手2人、国内FAは、投手がソフトバンクの石川、中日の福谷、捕手がソフトバンクの甲斐、中日の木下、内野手では、阪神の大山と原口、楽天の茂木の3人が手をあげた。
 注目は大山と甲斐だろう。
 大山は、球団を通じて「プロ野球選手として初めて他球団からの評価を聞く機会を得られましたので、FA権を行使させていただく事にしました。野球人生において、すごく大きな決断のタイミングだと思うので、慎重に時間をかけて考えさせていただきたいと思います」とコメント。甲斐も「一度きりの権利だとおもいますし、大きな決断になるとおもいますが、色々な話を聞いてみたい」と決断理由を説明した。
 今季の大山は膝の怪我などもあり序盤は不振で2軍調整する時期もあったが、最終的には打率.259、14本塁打、68打点で、得点圏打率はリーグ2位の.354をマークした。一塁、三塁を守れる大山には、巨人、広島、楽天、オリックス、西武などが興味を示すと見られているが、推定年俸2億8000万円で年俸の50%+人的補償が必要なAランク。資金力やチーム内の年俸バランスを考えると手を出せるのは、巨人とオリックスに絞られる。巨人なら甲子園から東京ドームに本拠地が変わることで、キャリアでは4年前の28本が最多の本塁打数が増える可能性もある。
 ただ一塁には岡本がいて、捕手、一塁の大城の残留も決まり、ゴールデングラブ賞を三塁で初受賞した坂本も来季は奮起するだろう。岡本にはメジャー挑戦の噂がつきまとうが、阪神のように不動のレギュラーが保証されているわけではない。

 

 

 甲斐も推定年俸が2億1000万円で、獲得には、大山同様、かなりの大型契約が必要となる。盗塁阻止率が下がり、横浜DeNAに敗れた日本シリーズでは、1本のヒットも打てず、その評価に疑問符がついたが、レギュラーシーズンでは、キャリアで2番目にいい打率.256を残して5本塁打、43打点だった。
 球団OBでもある評論家の池田親興氏「まだ2桁の本塁打を打つ力がある。守りの点では、球界ナンバーワンでしょう」という。
 捕手が補強ポイントのチームは多いが、その条件を提示できるのは巨人くらいしかないだろう。つまりこの2人に関してはチーム残留の可能性も十分に考えられる。
 池田氏も「移籍と残留の可能性が50‐50くらいでは」と見ている。
 一方で人気が集まりそうなのが、金銭、人的補償とも不要のCランクの阪神の原口とソフトバンクの石川だ。原口は推定年俸3100万円で、石川は推定年俸1億2000万円だが、高額選手が揃うソフトバンクの中ではCランクとなっている。
 原口は一塁手だが、いざとなれば捕手もできるので第3の捕手をベンチに入れる必要がなくなる。今季は主に代打で52試合に出場して打率.241、2本塁打、9打点だったが、5月16日の中日戦では「4番・一塁」でスタメン抜擢されて本塁打を含む4打点の活躍を見せている。原口は、まだ代打に甘んじる考えはなく、レギュラー争いができるチームへの移籍を希望している。大山同様、西武、楽天、オリックス、広島、巨人らが候補で、ピタリとあてはまるのは、今季最下位から浮上できず、監督交代となった西武だろう。過去にはトレードで榎田が移籍し、現役ドラフトで陽川が指名されるなど阪神との縁もある。
 また今季は、後半にローテを守り、15試合、7勝2敗、防御率2.56の成績を残した石川にも、オファーが殺到すると見られる。2020年に11勝3敗で最多勝と最高勝率の2冠に輝き、2021年には開幕投手を務めている。投手に厚みを持たせたいのは、どのチームも同じだが、先発の補強が急務のオリックス、ヤクルト、横浜DeNAらは、喉から手が出るほど欲しいだろう。またCランクの選手に関しては、獲得人数に制限がないため、巨人も手をあげるかもしれない。
 昨年の国内FAでは、広島の西川がオリックス、オリックスの山崎福が日ハム、西武の山川がソフトバンクと、国内FAでは3人しか動かなった。だが、7人がFAを行使した今年は、その人数を超えて移籍が実現する可能性もある。
 15日から交渉が解禁となる。
(文責・RONSPO編集部)

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